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新たなスタート

 マルテリアに到着して、初めての朝がやってきた。久々にベッドで寝たこともあり、ぐっすりと眠れた。


 今日の予定は仕事を探しに労働組合に行くこと。それと、夜からは先日に知り合ったユリウスとの食事だ。


 宿の一階に降り、朝食を食べて宿を後にする。朝食は以前の宿でも毎朝食べていた、至って普通のハムと卵をパンで挟んだものだ。


 マルテリアの街は周辺にモンスターが少なく、安全な為か冒険者の姿を滅多に見かけない。殆どの人が商人に雇われ、店の手伝いや客寄せを行なっている。


 仕事探しは労働組合を訪ねると、自分に合った仕事を提示してくれる。


 給料に関しては働いた時間で決まり、仕事についていけなければ、すぐにでもクビになってしまう。マルテリアには仕事を探しに来る人が多いから替えは沢山いる。


「(クビになるのはもう嫌だ! 僕は冒険者以外の仕事はしっかりとこなしてやる!)」


 そう意気込み、労働組合に向かっている最中にクビを告げられる人を見て、一気に自信がなくなってしまった。


 できるだけ見ないように通り過ぎ、少し歩くと労働組合に辿り着いた。労働組合は五階建ての綺麗な建物だった。


「す……すいません、仕事を探しに来たのですがよろしいでしょうか?」


 冒険者組合以外の組合に入るのはこれが初めてで緊張する。冒険者組合とは違って内装もかなり綺麗だ。


 仕事探しの受付に居る、女性の元まで向かう。話しやすい人ならいいんだけど。


「あの……受付をしたいんですけどこちらで合っていますか?」

「はい、こちらで合っていますよ! どういった仕事をお探しですか?」


 元々、冒険者なわけだし体力には自信があるから細かい作業以外なら何でもいいよね。


「体力には多少は自信があるので、力仕事ですかね」

「了解致しました! 資料をまとめるのでそちらの席にてお待ちください!」


 冒険者組合とは真逆で丁寧に対応してくれ少しホッとした。席に座って、五分ほどで呼ばれた。


「お待たせしました。力仕事ですとこちらの酒場の裏方などがお勧めです! 賄いも出るので食費を抑えやすいかもしれません」

「他の仕事ですと………………」


 仕事の詳細が書いてある、分厚い資料を一通り読み、候補を立てた。


 一つ目は酒場の裏方の仕事。

 お姉さんの言う通り、食事を抑えれるのはいいことだ。


 二つ目は工業区間にある建設関係の仕事。

 給料が他の仕事より高く、待遇もいい。

 

 三つ目はもう一度、冒険者になること。

 冒険者といっても採取系をメインで安全な仕事だ。


 どれも魅力的だが、三つ目に至ってはほんの数日前まで本職だった仕事なんだけど。

 エリックで冒険者をしていたときは討伐がメインで、採取の依頼は受けたことがない。


 採取系の依頼は、一人でも安全で三年間培った知識を活かせる。意外とありなのかもしれない。


 どの仕事をするか迷っているうちに時間は少しずつ経過していく。

 資料は持って帰ってもいいと聞き、宿に帰ってからゆっくり、考えることにした。


 宿に帰る前に街を少し見ていき、昼食を食べ歩きしていた。


 前方からユリウスともう一人が談笑しながらゆっくりと歩いてくる。

 僕に気付いたユリウスが歩み寄り、声をかけてきた。


「やあ、ソウマ! こんなところで何をしているんだい?」

「労働組合に仕事を探しに行っていたんだ」

「ソウマは元々冒険者だったんだろ? 冒険者はもうやらないのかい?」


 あまり聞いて欲しいことではないけど、僕の事情なんて知らないし仕方ない。


「君は『戦力にならない』ってパーティメンバーに言われてクビになったんだよ……一生懸命やっていたつもりだったんだけど」

「それは酷なことを聞いてしまった……すまない」 


 治りかけていた心にグサッときた。

 もう既に、枯れるほど泣いたし、もう大丈夫だ。


「いいよ! もう吹っ切れているよ、それよりも隣の人はユリウスの冒険者の友達か?」


 口から鼻までを布で隠し、薄らと銀色の髪が見える。肩には黒いマントを羽織り、腰に細長いレイピアを腰に身につけている。


「冒険者友達ではなく、私のパーティメンバーで幼馴染なんだ」

「そうだったのか……ってことは幼馴染と一緒に冒険者になりにマルテリアまで来たってことね」


 僕とウルカに似た境遇で、顔には出さなかったけど驚いた。


 ユリウスの幼馴染は顔を隠している布を下げて、ユリウスに対して妙なことを呟いた。

最後まで、読んで頂きありがとうございます。

私が見つけられる範囲で間違った表現や誤字、脱字は随時、修正をしたいと思っております。

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