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わたしはタダの侍女ではありません  作者: タカハシあん


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98 仕事は大変

こちらも久しぶりの投稿です。

「こんなものかしらね」


 水漏れもなく歪みもない。もうちょっと手を加えたいところだけど、さすがに予算と時間が足りない。この程度なら問題なく使えるでしょう。


 侍女長様に入ってもらい、問題ないと了承を得たら侍女何人かに入ってもらった。


 侍女からも問題ないことを得たのでお風呂は完成とした。


「あら、いいわね。じゃあ、次は館のお風呂もお願いね」


 そうだった! 館もだった! 集中しすぎて忘れていたわ。本番は館だったのよね。ハァー。


「どのようにしますか?」


「任せるわ。シャーリーの好みにしていいわ。それが一番使いやすくて綺麗だからね。予算は三十万ポイントを使って」


 それはまたかなりのポイントを注ぎ込みますこと。まあ、それだけあればサウナも作れるわね。


 これは侍女の仕事なのかしら? と、何度も湧いてくる疑問を蹴飛ばしながら館のお風呂へ向かった。


 お風呂場には四人の下女、年長者のナバリラ、一つ下のミラリオ、十四歳同士のタリナーとサナミニがいた。


「またよろしくお願いするわね」


「はい。よろしくお願い致します」


 代表してナバリラが返事をし、三人は一礼で答えた。


「まずはお風呂場を見せてもらうからあなたたちは荷物を外に運んでちょうだい」


 館のお風呂は奥様や旦那様が使うから荷物が結構ある。それらを運び出さないとお風呂の改築はできないわ。


 四人に任せている間にわたしは、お風呂場の裏、水を浴槽に流す機構室に向かい、水を湧かす魔法具──湯沸し器を見る。


「この作り、おばあ様かしら?」


 城の湯沸し器も同じ型だ。


 おばあ様は聖賢者と呼ばれながら魔法具を作るのも上手だった。わたしにはその才能がないから大した魔法具は作れないけど、魔法の解体や魔法式の書き換えくらいはできる。


 道具は機構室にあるのでそれを使って湯沸し器を外した。


「もっと湯沸し器が作られて普及すれば薪を焚かなくてもいいのにね」


 金額にしたらいくらになるかわからないけど、この湯沸し器はかなり高度な技術と魔法が書き込まれている。おばあ様が作ってなければ侯爵家の資産でも設置するのは不可能でしょうね。


 湯沸し器や他の魔法具に布をかけて保護し、さらに結界で防御をする。


 土魔法で分解。砂へと変えて両脇に空いてる場所に一時的に移動させた。


 異次元屋へ向かい、塩ビ菅やシャワー、鏡にマット、あれやこれやと買ってきた。フー。


 少し休んでからお風呂の分解、集結、凝結で少しずつ形を変えていく。


「さすがに一日では終わらないか」


 その日の作業を侍女長様に伝える。


「奥様の湯浴みはどうします?」


 ん? はい? 奥様の湯浴み?


「ここが使えないのだから別の場所で湯浴みをするしかないでしょう」


 いや、そうだけど、それ、わたしの仕事なんですか? あ、はい。わたしの仕事っぽいですね。わかりました。


 奥様の寝室に向かい、お湯玉を作り出して入ってもらった。


「毎回寝室で入れたら楽なのに」


 そうしたらわたしが大変になるのでお風呂の改築の間だけでお願いします。


「改築はどう?」


 なぜかわたしが奥様をお湯玉に入れてマッサージをする不思議。奥様つきの侍女の仕事ではないのでしょうか?


「順調ですが、広さが広さなので四日はかかると思います」


「そうね。わたしもあれは広いと思ったのだけれど、ミディがお風呂は広いほうがいいと言ってああなったのよ」


 おばあ様が原因でした! と言うか、おばあ様らしかった!


「でしたら、もう少し縮小してサウナを作ります」


「あら、いいわね。ロブが喜ぶわ」


 この国ではお風呂よりサウナに入る人のほうが多く、旦那様もサウナ派だ。よく城のサウナに入ってから帰ってくるそうよ。


 マッサージを終えたら異次元屋で買った梅酒のソーダ割りを作り、奥様に出した。


「やっぱり湯上がりはこれね」


 なんとも美味しそうに飲む奥様。わたしはただの蜂蜜梅酒が好きだわ。今度休みをもらえたらゆっくり飲もおうっと。


「そうそう。バンドゥーリ子爵との夜会の日が決まったわ。来月に行うそうよ。準備……はこちらでやっておくわ」


 お任せします。夜会と言われてもなにを用意したらいいかわからないし。


「旦那様は、今日はお帰りにならないのですか?」


 湯浴み場の改築で館にはこれてなかったからこちらのことなにもわからないのよね。


「また外交のことで問題が出たからしばらく帰ってこれないそうよ」


「大変ですね」


 なにがどう大変なのかは知らないけどね。


「まあ、それが仕事だからね。お風呂の改築が終わればロブにもマッサージしてあげて。最近、目が疲れて仕方がないってぼやいているからね」


 書類ばかり読んでるのかしら? それまで目薬を作っておきましょう。


 就寝時間となり、奥様が寝台へと移る。


「明日も朝は早いのですか?」


「いつもの通りよ」


 なら、ゆっくり眠ってもらっても問題ないわね。


 睡眠の魔法をかけ、深い眠りへと誘った。


「侍女長様。明日はゆっくりと目覚めると思うので対応お願いします」


「そんなに疲れていたのですか?」


「はい。可能なら二日くらいは休んでいただきたいですが、奥様は望まれないでしょう。せめて寝坊させてください」


 おじ様もおじ様ならおば様もおば様よね。仕事中毒の夫婦だわ。


「わかりました。こちらでやっておきます。あなたはもう休みなさい」


「畏まりました。では、失礼します」


 侍女らしく一礼して寝室を出た。


 ハァー。侍女の仕事も大変だわ~。

あれもこれも書きたいけど、あれもこれも書けないのが現実。

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