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わたしはタダの侍女ではありません  作者: タカハシあん


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64 水飴

 花柄の箱にカップケーキを入れる。


「見た目がよくないわね」


 それに隙間がある。これじゃ揺れてカップケーキが潰れちゃうわ。


「ミローノさん。果物ってありますか?」


 確か前におば様から温室で木苺や葡萄を作っていると聞いたような気がするな。異次元屋に頼らなくてもいいとかなんどか?


「はい。郊外の農園で作っております。今ならペアトにマーモルがあります」


 ペアトは蜜柑の一種でマーモルは……なんだっけ? 聞いた記憶はあるけど、どんなものだったかは忘れてしまったわ。


「持って参りますか?」


「お願いします」


 で、持ってきてもらいました。


「これマーモルですか」


 紫色の涙型をした、暖かいところの果物っぽかった。


 ……前に異次元屋で買ったマンゴーに似てなくもないわね……。


「もう少し熟すと食べ頃ですね。最近、マーモルの酒も出てきてますよ」


「一般的なものなんですか?」


「他の方も真似て作り出したので、街でも売っているとは耳にしております」


 つまり、まだ一般的にはなってなく、裕福な者の口にしか入らないってことね。


「ミゴリ。鍋でお湯を沸かしてちょうだい」


「シャーリーねえ様、どうするんです?」


「果物を水飴で固めるのよ」


 まあ、見てなさいとマーモルを洗ってから四等分に切る。


 お湯が沸いたら砂糖を入れ、とろとろになったら切ったマーモルに串を刺し、水飴を薄く絡める。


「こんなものかしらね?」


 おばあ様が作ってくれた記憶からの再現だから上手くいったかはわからないけど、そう難しいものじゃないからほぼ再現はできたはずよ。


「飴で固くなってるから気をつけて食べてね」


 三人に試食してもらう。


「美味しいです! こんな食べ方があったんですね!」


 ミゴリもミローノさんも美味しいようであっと言う間に食べてしまったわ。


「簡単だけど、大量に砂糖を使うのが難点なのよね」


 まあ、侯爵家なら問題ないでしょうけどね。


「隙間を埋めておくものだから食べても食べなくてもいいですよ」


 お嬢様が上品よく食べるのは大変でしょうし、お付きの人に差し上げればいいでしょうよ。


 映えるように隙間を埋め、箱に結界を施した。これでちょっとやそっとの揺れでは崩れないし、日持ちもする。熱にも強くしたから飴が溶けることもないわ。


「蓋を開けると結界は解除されるから早めに食べてくださいね」


「お土産にするのがもったいないわ」


 名残惜しそうに見ているミア。しょうがないわね。


「ふふ。食べたいときはおっしゃってください。すぐにお届けしますから」


 お土産を持っていけるなら差し入れもできるはず。まあ、ミアへの届けものなら拒まれたりはしないでしょう。


「はい! 絶対ですからね!」


「わかりました。ちゃんと話を通しておいてくださいね」


「お任せください。シャーリーねえ様が通れるようにしておきますから」


 いや、荷物を届けるようにしておいてくれればいいんだからね。なにか嫌な予感しかしないわ。


「お嬢様。シャルロット様。侍女様より伝言です。夕食になりますので部屋までお越しくださいとのことです」


 あ、もうそんな時間か。カップケーキに時間を取りすぎたわね。


「すぐ参ると伝えてください」


 料理は片付けまで料理なので、三人で片付けた。


「ミゴリ。ありがとうね。またなにかあったらお手伝いお願いね」


「はい。いつでもお声かけてください」


 満足そうに笑って厨房から出ていった。


「ミローノさん。砂糖と果物、お願いします。保存が必要ならわたしが時間凍結結界をしますので」


 生き物には絶対するなとおばあ様から言いつけられてるけど、料理にはなにも言われてない。美味しいものを美味しいまま保存しておきましょう。


「はい。よいものを揃えておきます」


 お願いしますと伝え、ミアと一緒に厨房を出た。皆さんに見送られて。いや、料理を続けてくださいよ。


「お嬢様。お着替えを」


 と、ミアとは途中で別れ、わたしはそのままおば様の部屋へと向かった。


「遅くなり申し訳ございません」


「いいのよ。ミアの我が儘なんだから。美味しいものはできた?」


「はい。お求めの際はミローノさんにお申しつけください」


 真剣な目でわたしの手際を見ていた。きっとおば様の舌に合うものを作ってくれるでしょうよ。


「ロブももう少しで帰ってくるわ。少し飲んで待ってましょうか」


「では、異次元屋の果実酒を開けますね」


 あちらの世界では食前酒と呼ばれているようで、食欲を増進させるとか言われているそうよ。


「いいわね、果実酒。もっと繋がりやすいなら大量に仕入れたいわ」


 わたしもそう思うけど、次元を越えると言うのは一大事。並みではできないことだ。自力で越えられるのはおばあ様くらいにならないと無理でしょうね。


 わたしもおばあ様の補助があって可能だったのだからね。


 ちょっと甘めの果実酒を開けると、着替えたミアがやってきた。


「あ、わたしも飲みたいです!」


 こちらの世界ではお酒を飲むのに年齢制限はない。飲めるのなら飲むと言った緩いものだ。


 ミアの分も果実酒を注ぎ、女三人で乾杯した。

リング飴、食ったことない。美味しいもんなの?

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― 新着の感想 ―
[一言] 食べたときお腹いっぱいであったこと。 表面の飴が固くて噛み辛かったこと。 リンゴも固くて噛み辛かったこと。 結果、おいしくなかったけど不味くはなかった。
[一言] 不味くはない。
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