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わたしはタダの侍女ではありません  作者: タカハシあん


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42 侍女たちの共謀

 頭を洗うなんて初めてだろうに、ナタリーさんもハールメイヤ伯爵家側の侍女さんも上手だった。


「とっても上手です。頭皮はもう少し強くしてもいいですよ」


 勘がいいのか経験から来るものかはわからないけど、手つきはとってもよく、奥様たちも気持ちよさそうにしているわ。


「お付きの方。奥様たちの足を洗います」


 人はいるので奥様たちの足を洗うことを教えることにした。


「人にとって足は大切なところです。よく綺麗にして足の裏をほぐしてください。角質、カサカサの皮膚は無理に擦らないでください。毎日洗えば綺麗になりますから」


 あ、軽石を買うの忘れた。おば様のところにいったら買い足さないとね。


「ん? 蒸気が減って来たわね」


 奥様たちが冷えないようにお風呂場を蒸気で満たしたのに、蒸気の量が減っている。どこかからか漏れてるのかしら?


「カビつき防止のための換気口があるのでそこから抜けていると思います」


 と教えてくれたのはハールメイヤ伯爵家側の侍女さん。ナタリーさんと似た感じの人だ。


 ……迫力のある胸だこと……。


 この世界にブラジャーがないのでカップ数もない。異世界の基準で言えばEはあるんじゃないかしら?


「な、なにか?」


 わたしが胸を見ていることに気がついて腕で隠してしまった。恥じらいとかあるんだ。


 皆さん平然としてるから裸になるのに抵抗がないと思ったら、羞恥心を隠して平然と見せていたらしいわね。


「あ、いえ。胸が大きくて大変だな~と。大きいと形が崩れやすいですし」


 若いときはいいけど、ブラジャーをしてないと垂れる一方なのよね。


「シャーリー様がしているものをすれば胸は垂れたりしないのですか?」


 わたしのしているビキニを見てそう思えるとか、洞察力が凄いわね。できる女性って感じだわ。


「そうですね。胸の形にあったものではないと効果はありませんが」


 わたしも自分の胸にあったものを見つけるまでたくさん買ったものよ。


「入り用なら王都のタリマリー夫人がやっているお店を訪ねるとよろしいですよ。ただ、人気がありすぎて専門のを作るには時間がかかると思いますけど」


 おば様が出資しているお店で、下着専門でやっているわ。


 まあ、王都にいけると思わないからハールメイヤ伯爵領の針子に作らせるんでしょうよ。


 何人かの視線がわたしのビキニに向けられている。まあ、ビキニとブラジャーでは違うのだけれど、そこは試行錯誤で頑張ってもらいましょう。


 カビ防止の換気口を塞ぐのも不味いかと思い、調整しながら蒸気を作り出すことにした。


「シャーリー様。髪はこれでよろしいでしょうか?」


 髪担当の侍女さんの仕事具合を見る。


「はい。とってもよいできです。才能がありますね」


 お世辞ではなく、手つきがとてもよく髪も綺麗になったわ。


「では、髪を櫛ですいてください。足のマッサージはそのまま続けてください」


 髪をすくのは毎日やっているだろうから説明はしない。お任せです。


「今度は顔のマッサージをします。これは顔の皺を伸ばす技術で、毎日やると十歳は若返りますよ」


 一度やって見せて、侍女さんに代わる。


 細かな力加減や皺の伸ばし方を教えていると、気持ちよさに奥様たちが眠りへとついてしまった。


「今日はこのくらいにしますか」


 まだまだやりたいことはあるけど、今日の疲れを取ることはできたはず。欲張りは止めておきましょう。


「お風呂場の蒸気を消しますので奥様方の汗を拭いてください」


 風の魔法で蒸気を集め、換気口から外へと逃がした。


「ナタリーさん。奥様になにかかけるものをお願いします」


「このままにしておくのですか?」


「しばらくはこのままでいいでしょう。気持ちよく眠っているんですから」


 侍女さんが持ってきてくれた毛布を奥様方にかけ、寒くならないよう熱魔法で包み込んだ。


「ナタリーさん。ハールメイヤ伯爵家の侍女様。奥様方が目覚めるまでお湯をいただきましょう。このままお湯を捨てるのも惜しいですしね。奥様方はわたしが見ておりますから」


 侍女を上手く使うならちょっとした利を与え、ちょっとした息抜きを与えなさい。これはおば様の言葉だ。


 まあ、わたしの侍女ではないのだけれど、侍女を上手く使うのも侍女だと思う。今後のためにも侍女さんたちの掌握法を学んでおくとしましょうか。


 侍女さんたちもその辺はわかっているのか、視線を飛ばし合って共謀の意を取っていた。


 ……できる侍女は一致団結できるものなのね……。


「シャーリー様。奥様方をお願いします」


 ナタリーさんも侍女さんたちの和を乱すのは不味いと判断したのか、共謀に同意した。


「はい。ごゆるりとお湯をいただいてくださいませ」


 わざとらしく仰々しくお辞儀した。


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