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わたしはタダの侍女ではありません  作者: タカハシあん


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36 髭剃り

 タリオラさんの働きにより、髭を生やした兵士さんが三人集められました。


 年齢や髪質で集めたわけではなく、ただ髭を生やした人がこの三人だったみたい。皆さんは、毎日剃ってるのかしら?


 宿営地の庭を借り、魔法で土をいじって顔を剃れる角度の椅子を作り出した。


「申し訳ありませんが、ガルズ様の髭を剃るために皆様の髭を練習で剃らせていただきます」


 了承は得てますよね? と、タリオラさんを見る。


「皆様。お願いします」


 タリオラさんの笑顔に兵士さんたちは無言で頷いた。なにか頬を上気させて。


「では、ここに座ってください」


 三人に向かって言うと、三人はどうするとばかりに視線を飛ばし合い、年長者っぽい方が椅子に座った。


「練習にお付き合いくださいましてありがとうございます。わたしは、シャーリーと申します」


 もう知ってはいるでしょうけど、礼儀として名を告げた。


「あ、はい。ミドと申します。よろしくお願いします」


 わたしに釣られてか、恐縮するミドさん。気を使わせちゃったかな?


「危険なことはしませんので、ゆったりしててください」


 男性の髭を剃ったことはないけど、料理で獣の毛を剃ったことはある。それに、異世界の散髪の知識もある。怪我をさせることはありませんよ。


 温度の違うお湯玉を二つ作り出し、熱湯に近いほうに産毛剃り用の剃刀を入れて熱湯消毒させる。


 お風呂に入れるくらいのお湯玉にはタオルを何枚か入れる。


 いい感じに温まったら一枚取り出してよく絞り、息をできるようにミドさんの顔に置いた。


「温めて毛穴を広げてるのでしばらくお待ちくださいね」


 この汚い髪と一緒に洗いたいけど、今回は髭剃りの練習。我慢よ、シャーリー!


 タオルの温度が下がったので顔から取ると、タオルが酷い汚れよう。お風呂には……入ってるわけないか。まあ、体は拭いているようで我慢できるくらいには臭っていた。


 タオルを折り返してミドさんの顔を拭いて綺麗にする。汚れたタオルはタリオラさんが用意してくれた籠にポイ。あとで纏めて洗濯します。


 髭剃り用の石鹸がないのでハンドソープ──泡石鹸で代用します。


 髭に塗り込み、産毛剃り用で髭を剃り始め、熱湯から剃刀を出して冷えたら剃り始める。


 う~ん。やはり産毛と髭は違うわね。切れがいまいち。なら、魔法で切れ味をよくさせますか。


 顔半分したところで新たにタオルを出して絞り、またミドさんの顔に置いた。


「随分と手間をかけるんですね」


 横で興味深そうに見ていたタリオラさんが尋ねて来た。


「高貴な男性の髭を剃るためですからね。丁寧に気持ちよくを求めたらこうなったそうですよ」


 書物からの知識だからそう詳しくは知らないのです。


「シャーリー様は博識なのですね」


「探究心が強い性格なもので」


 昔はそんなでもなかったのに、とあることで探究心に火が灯ってしまった。それから興味のあることには深く求めちゃうのよね。


 顔が温まったら残り半分を剃った。


「う~ん。まあまあ、なのかな?」


 泡を拭き取って剃り具合を確認するけど、日焼けで剃り具合が良いのか悪いのか判断ができない。ただまあ、剃刀はよく切れたのは確かだわ。


「ありがとうございました。次の方、お願いします」


「あ、はい。リドガと申します。お願いします」


「はい。よろしくお願いします」


 次の男性は二十代半ばくらいで、ミドさんより髭が縮れているわね。肌質はよさそうだけど。


 同じ工程で髭を剃り、具合を見る。


「切れ味はいいみたいね」


 ミドさんより肌が白いので髭の切れ口がよくわかるわ。


「でも、ちょっとジョリジョリするか~」


 リドガさんの頬を撫でると、指先が髭に引っかかった。


 やはり専用の剃刀を異次元屋から買わないとダメね。でも、鋏は高いからな~。裁縫用の鋏、八千ポイントもしたし。


「次の方、お願いします」


「はい! ヨシアです! お願いします!」


 最後は若い男性で、雰囲気からわたしより年下な感じがするわ。


 髭も細く、無精髭くらいにしか伸びてなかった。まあ、こう言うのもいい練習になるわね。


 無精髭ていどなのであっと言う間に剃り終わったので、太い眉を綺麗に揃えてあげた。


「ありがとうございました。とてもいい練習になりました」


 十二分にガルズ様の髭を剃る腕にはなったわ。


「シャーリー様。もうよろしいのですか?」


「はい。ガルズ様の肌質はヨシアさんに似てるので問題なく剃れると思います」


 地面に落ちた髭を風の魔法で吸い取り、結界内で焼却。椅子も土に戻した。片付けはしっかりしないとね。


「あ、タリオラさん。ハールメイヤ伯爵家の方に安楽椅子があったら用意してもらってください。ガルズ様をここに連れて来るのは気が引けましからね」


 ガルズ様は気にしないかもしれないけど、ハールメイヤ伯爵側は気にするでしょう。髭を剃るために大使を庭に連れ出すなんてね。


「はい。訊いてみます」


「わたしは、タオルを洗濯してますのでよろしくお願いします」


 せっかく排水路があるので異空間に貯めた汚水を捨てておきましょうか。


 兵士さんたちの好奇な目を受けながらタオルの洗濯に取りかかった。


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