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わたしはタダの侍女ではありません  作者: タカハシあん


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31 日々努力

 奥様の肉体年齢は見た目より五歳は上な感じがした。ちなみに奥様の見た目は、三十後半くらいだ。


 おば様は美と健康のために、日々食事と運動を心がけ、睡眠をしっかり取るようにしているから肉体年齢は二十代だ。


 けど、貴族のご婦人は食事にも運動にも心がけてはおらず、年齢以上に肉体が衰えていることがある。


 わたしもおば様の友人を何人かマッサージしただけだからすべてが、とは言えないけど、大半のご婦人はそうなんでしょう。奥様も他のご婦人方と同じだった。


 ただまあ、奥様はまだマシなほうかしらね。筋肉が他のご婦人より鍛えられている感じがする。これはアレね。


「奥様は、なにか運動をしていますか?」


「え? ええ。ゴルフをするわ」


 やはりゴルフか。異世界のスポーツをおばあ様が持ち込み、おじ様が気に入って広めたものは隣の国まで伝わったのね。


 わたしもおじ様に付き合って何度かしたけど、結構運動量があるスポーツよね。


「でも、一年はしてないわね。大使の妻として学ぶことがあったから」


「なるほど。だから下半身の筋肉や背中の筋肉があるんですね」


 人は動かないとすぐ筋肉が落ちるけど、日々動いていればなくなったりはしないわ。


「そんなこともわかるの?」


「専門家ではないのでそんなに詳しいわけではありませんが、なにかやっていたのはわかりますね。特にゴルフをしている人の体は」


 おば様やおじ様をマッサージしてるしね。


「シャーリー嬢もゴルフをするの?」


「お遊び程度には」


 ゴルフは自然との勝負。なんてカッコいいことは言わないけど、楽しく遊べるくらいにはやっていますよ。


「大使ならいずれ侯爵様ともゴルフをするかもしれませんね」


 おじ様はゴルフを遊びにだけじゃなく外交にも使っているらしい。なら、大使ともするでしょう。わたしと関係を持っちゃったしね。


 ……おじ様には謝っておかないと。面倒な事にしちゃったしね……。


「マッサージで体を回復させることはできますが、体を作ることはできません。適度な食事と適度な運動。そして、快適な睡眠。美は一日にしてならず。日々の積み重ねですよ」


 それはおばあ様の言葉でわたしの生き様よ。


「そう、ね。二十年若ければ実践したかったわ」


「女はいくつになってからでも綺麗になれる生き物ですよ」


 他の世界では不可能なことでもこの世界では可能なこと。魔法は老化を抑えることも若返ることもできる。まあ、そんなことできるのは者は少ないでしょうけどね。


「今日のマッサージは、体の回復させ、代謝をよくするものですね」


 と説明するけど、マッサージの気持ちよさに眠ってしまっていた。


「ふふ。疲れていたんですね」


 奥様たちが乗る馬車はわたしたちが乗っていた馬車より造りがいいから揺れは少ないでしょうが、それでも一日中揺れてたら疲れもするでしょう。


 仰向けにして毛布をかける。


「ナタリーさんも今の内にお風呂に入ってください。わたしはまだ奥様をマッサージしますので」


 毛布から奥様の右手を出して、手のひらのつぼを揉み始めた。


 異世界の知識だからわたしたちに効くかは疑問だったけど、いろんな人に試したら同じ効果が出た。世界は違えど人の構造はそう変わりないみたい。


 右手を終わらせ、場所を移して左手を揉んでいると、奥様の寝息がとても気持ちよさそうで思わず笑ってしまった。


「ふふ。子どものようね」


 一回り歳が離れている女性に言うには失礼な物言いだけど、この安らかな顔は子どものようとしか表現できなかった。


「お忙しかったので」


 と、お風呂に入っただろうナタリーさんが横にいた。もう上がったんですか?


「子爵の奥様も大変ですね」


 どう大変かは知らないけど、体の疲れからして大変なのは理解できるわ。


「ナタリーさんもお忙しくしてるんですから、じっくりお風呂に使ってください」


 温かいほうのお湯玉に強制投入してやった。


「ゆっくり温まるまで出しませんから」


 結界の強度を上げて出るないようにする。


「ミニーさん。ナタリーさんを見ててください。わたしもお風呂に入るので」


 服をパッパと脱いでお湯玉に入った。


 泡を生み出し、全身をマッサージ。あ~気持ちいい~。


「シャーリー様。お体お洗いします」


 他人に洗ってもらったことないけど、洗ってもらう立場ってのを経験しておくのもいいかと、お願いした。


「誰かに洗ってもらうのもいいもんですね」


 皆さん、侍女として優秀なだけあって洗うのも上手だわ。


「シャーリー様の肌、とっても綺麗ですね」


「日々の努力ですね。一日サボると取り返すまで三日はかかります」


 旅の間はしょうがないとしてもおば様のところにいったらしっかり研かないとね。


「皆さんも地は綺麗なのだから、しっかり研いたら男性から告白されまくりですよ」


 わたしはされたことないけど、基本、男性は美しい女性に弱いらしい。美人がいたら放っておかないでしょうよ。


 なにか皆さんの目が輝いたような気がしないでもないけど、今は自分を研くことに集中しましょうか。ふ~い~。


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