表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしはタダの侍女ではありません  作者: タカハシあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/107

20 ここは、アルベガルと言う世界

 あれ? リュージさんじゃない?


 異次元屋に来たら、なぜか知らない二十歳半ばの男性が立っていた。


「いらっしゃいませ、シャーリー様。異次元屋にようこそ」


「あ、はい。お邪魔します」


 誰かは知らないけど、リュージさんと同じ服を着ている。なら、異次元屋の人なんでしょう。


「お初にお目にかかります。この度よりアルベガルを担当させていただくリューケンと申します。これからよろしくお願いいたします」


 アルベガルとはわたしたちが住む世界の名前だったはず。


 世界に名前があるなんて不思議に感じてたけど、他にも世界があるのだから名前がないと不便と言えば不便よね。あ、ちなみに異次元屋がある世界はアースと言うらしいわ。


「は、はい。よろしくお願いします」


 まあ、異次元屋は広く、世界は多いのだから一人でやっているほうがおかしいわよね。これまで他の店員さんがいないほうがおかしかったのよ。


「リュージさんは、別の担当になられたんですか?」


 異次元屋に別の部署があるかわからないけどさ。


「いえ、他の世界を担当しております。ラギニアリスと言う世界で異世界転生者が現れたようで、その対処に当たっております。そのせいでシャーリー様にはご迷惑ご面倒をおかけすると思いますが、どうかご了承くださいませ」


「いえいえ。お気になさらず。あまり利用してない世界ですし」


 スマホを起動させるだけの魔力保持者は少ないようで、異次元屋を利用する者は五人といないらしいわ。


「とんでもない。シャーリー様からいただく魔力は異次元屋を経営するのに大変重宝しております。アルベガルの方の魔素はとても質がいいですからね」


わたしの世界はまだアースより遅れており、まだ魔法や魔術の区別もなく、学術的にも確立されてない。かく言うわたしも魔法を感覚で使っている。なぜ魔力が水になるかなんてわかってないわ。


「魔術を発展させると魔素が消失するとは皮肉な話です」


 アースでは魔術が衰退し、科学技術が発展している世界。後継者問題も深刻らしいわ。


「人の発展は難しいですね」


 なにかが消えればなにかが新しく生まれる。とはおばあ様の言葉。まだ小娘なわたしには答えの欠片も見えないわ。


「あ、魔力で思い出しました。異次元屋で魔石の買取り、してましたかしら?」


 魔石があるとは以前、聞いたことはある。けど、買取りできるとは聞いてない。魔石を取る必要もなかったからね。


「はい。買取りしてますよ。アース世界のような魔素が枯渇した世界では、魔石は需要がありすぎて、供給に困るくらいです。魔石はレベルC以下の世界には豊富なのにレベルB以上は極端に減りますから」


 異次元屋に繋がるにはレベルB以上であり、レベルC以下は異世界転生した者や魔王級じゃないと無理だとは聞いたわね。


「わたしがいる世界って確か、レベルAでしたよね?」


 レベルAの割には異次元屋に繋げられる人は少ないけど。


「はい。レベルAの世界ですね。ですが、アルベガルは、魔素レベルはEと言う稀有な世界です」


 世界はレベルがF、E、C、B、A、Sと魔術や魔法が発展した世界になるけど、魔素の場合はS、A、B、C、E、Fとなるほど満ちているそうよ。


 ……ややっこしいわよね……。


「買取っていただけるのなら幸いです。なにも持たず城を追い出されて十年は帰れないので」


 城にいればほとんどをポイントに回せたけど、外ではなにがあるかわからないから半分は残しておきたいねよね。


「召喚魔法陣に置いてあるので、よろしくお願いします」


 召喚はお互いにできるようになっている。


 次元を守るために世界の歴史や情勢を異次元屋に渡すことで利用可能となっているのよ。最悪な次元崩壊を避けるために、それを起こしそうな者をいち早く見つけるために、ね。


「畏まりました。少し失礼します──」


 と、リューケンさんが陽炎のように消えた。


 あちらも霊体なので、召喚する場所に移動したのでしょう。


 そして、十も数えないうちにリューケンさんが戻って来た。


「確かめさせていただきました。とても魔素が澄んだ魔石で驚きました」


「そうなのですか? 魔物から採れた魔石なんですけど」


 おそらく弱い魔物のはず。そんな弱い魔物が上質の魔石を生むとは思えないのだけれどな?


「魔物からですか。さすが魔素レベルEですね。魔物も魔素に満ちています」


 そ、そうなんだ~。としか言いようがない。魔素は感じられても良し悪しまではわからないもの。まあ、猛毒級にまで濃くなればわかるけどさ。


「これなら八万ポイントになりますね」


 わたしの最高ポイントは五千。最低で三千八百。約二十日分くらいか。まさにボロ儲け、って感じね。


「では、それでお願いします。また買取りしてもらってよろしいですか?」


 侍女として働けば給金がもらえるはず。その給金で魔石を買って、異次元屋に売れば生活には困らないでしょう。


「もちろんですとも。是非、お売りください。魔石市場はいつも供給不足ですので」


 ふふっ。それはなによりです。


 その後、ポイントに心配がなくなったので旅に必要なものを爆買いしてしまいましたとさ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ