エドルと勝負
勝負の内容は普通に決闘ということになった。
どっちかが降参するか、気を失うかで勝敗を決めるらしい。
「じゃあ、行くぞアルト!」
エドルはそう不敵な笑みを浮かべて、こちらへ向かってきた。
エドルは魔法じゃなく剣で攻撃してくる近距離型だ。
焦ったが勝負の前にルイスに言われたことがあったので、対処できるような気がした。
「いい? 身体に魔力を循環させるイメージでそれをできるだけ早くするの。それさえすれば勝てるわ」
「そ、そうなの? まぁやってみるよ」
こんな事を言われていたのだ。
「えっとこんな感じでいいんだよね」
僕は言われた通りに魔力を体全体に循環する様にイメージした。
すると不思議だけど、今までに無いくらい早く動けるような感じがした。
それに加えてエドルが向かってくる速度がとても遅く感じた。
「うおーー!」
「ほいっ」
「え……!」
そのためエドルの攻撃を楽に避けることができた。
「ウォーターボール!」
僕が避けてエドルが放心状態になっている間に、魔法を打ち込んだ。
しかしそれだけでは倒れなかった。
「くそっ! なんで当たらねえんだたまたまか。いやそれよりもなんでお前が魔法を使える!」
一度距離を取ったエドルがそう聞いて聞いた。
「え、まぁ色々ありまして」
「クソが! まあ良い。これで決めてやる。俺のスキル『速剣士』はもっと早くなるからな」
そう言ってエドルはさっきよりも早くこちらへと向かってきた。
「はやぶさ!」
「出た! エドルのはやぶさ! エドルの最強技だ」
「でもそんな技だしたら死ぬんじゃねえの?」
「確かに。まぁその時はドンマイだな」
エドルが出した技に観客がザワザワし始めた。
確かに早かった。僕でも避けれるのかが心配になった。
すると
「うわっ!」
「えっ……」
こっちに向かってきているエドルが転んだ。
あまりの事にここにいるすべての人が放心状態になっていた。
僕は人早く正気を取り戻しエドルの方へと向かった。
「じゃ、じゃあ遠慮なく」
そして近くなり、僕が魔法を唱えようとすると
「ま、待て! 降参だ。こんなところから魔法を喰らうのはダメだ」
「わ、分かりました」
「「「おおーーー!!」」」
そのエドルの言葉を聞いた途端歓声が上がった。
勝負が終わった後、ルイスがこちらへ向かってきた。
「やったわね。まぁ当たり前のことだけど」
「いやいや、運が良かっただけだよ」
「運も実力のうちって言うでしょ。そういうことよ」
「まあ、そうだね」
なんだか腑に落ちないけど勝ったみたいなので良しとしようか。
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