朝
「起きなさい、起きなさい。アルト」
「う、うーん……」
僕は誰かに呼ばれて目が覚めた。
目が覚めた場所は宿屋じゃないどころか、全く見たことない場所だった。
星空のに包まれているような、幻想的な感じの場所だった。
「起きましたね。アルト」
「——え! あなたは?」
周りを見ているといきなり話しかけられた。何だか目を奪われてしまうほど綺麗な女性だった。
「私は、賢者と呼ばれていました」
「賢者って、あのルイスが言ってた賢者様ですか?」
「ええ、そうです」
拷問されたとか言ってたし、もっと怖い人なのかと思ってた……。
「拷問は多分もう一つの人格が出てしまった時でしょう」
「え! 声に出てましたか?」
「いえ。この世界にいる時の私は心が読めるのです」
「そうなんですね」
なんだ良かった。失礼なことをしたんじゃないかと思った。
「後もう一つ。もう一つの人格があるんですか?」
「ええ、まぁ抑え込めるのですが」
「そうなんですね」
まさか賢者様が二つ人格を持っている人だったとは。
「それではそろそろ話を始めてもよろしいですか?」
僕が聞きたいことを聞き終わると、賢者様はそう言ってきた。
「話ですか?」
「はい。あのガチャについてです」
「それは聞きたかったので是非お願いします」
「それでは」
そう言ってガチャについての話が始まった。
「あのガチャは凶悪なスキルや、生き物などを封印するための物だったのです。そしてそれを見つけることができるのは心が綺麗な人だけ。それを貴方が見つけたのです」
賢者様はそう簡単な説明をしていた。
「そうなんですね……。でも僕が手に入れたスキルは一番初歩的なスキルだったんですけど」
「それはどんどん成長していくはずです。あの中に入っているのは全て強力な力を持っているものだけなのですから」
「そうなんですか……。では他にも聞きたいことが……」
「私も答えてあげたいところなのですが、もう時間のようです。最後に一つだけ言っておかないといけないことがあります」
「はい」
賢者様の声が少しずつ遠くなっているような気がした。
「あのガチャを回すメダルは世界中に広がっています。貴方のような心優しい人に回していただいて、世界を救って下さい……」
「それはどういう——」
僕がそう訊こうとすると賢者様の姿はなく、僕の方もいきなり目蓋が重くなり、目を閉じてしまった。
「さあ、アルト朝よ。早く起きなさい!」
「う、うーん……」
僕はルイスの声を聞きながら目が覚めた。




