宿屋
「ここが僕が泊まっている宿だよ」
ギルドを後にした僕たちは宿に戻ってきた。
「へー。こんなところなのね」
「じゃあ入ろう!」
僕たちは宿に入って行った。
「お、アルトか、おかえりー」
「ただいまーリーナさん」
リーナさんはこの宿の主人さんみたいな人だ。ほとんど一人で宿を経営しているすごい人。
「その隣にいる女の子は誰だい?」
「えっと、森で助けてもらったと言うか、助けたというか」
「へー。森でね……」
「というわけで一部屋借りたいんですけど」
僕がそう言うと、ルイスは驚いたようにこちらを見て言った。
「何言ってるの? 一緒の部屋に泊まるに決まってるじゃ無い」
「なんで!」
「え、節約するためでしょ」
「でもルイス賭けでお金たくさん手に入れたんじゃ」
「これは装備を整えるの。私も、あなたも貧弱装備なんだから」
「えー。でも同じ部屋は……」
流石に論理的に見てヤバそうだけど。
「大丈夫よ。と言うことでリーナさんでしたっけ?」
「ああ、そうだよ」
「一部屋のままで大丈夫なんで」
「そうかい? ならいいけど」
「さあ、行くわよアルト」
「ちょ、待ってよー」
そう言ってルイスは先々と部屋に向かってしまった。
「へーいい部屋じゃないの」
「そうだよね」
部屋に着いて僕たちは一休みをした。
そして時間が経った後、ルイスに話しかけられた。
「じゃあアルト明日は装備買いに行って早速クエストよ」
「装備? クエストにそんなの」
「必要よ。魔物を倒すのよ」
「僕が魔物退治のクエストを受けるの⁉︎」
「当たり前じゃ無い。そっちの方が報酬いいでしょ」
僕が魔物退治のクエスト……。
「出来るかな?」
「大丈夫よ。ちゃんと手取り足取り教えてあげるわ」
そう言ってルイスはニコッと笑った。でもその笑顔がなんだかとても怖かった。
明日から何だか大変になりそうだ。
「そう言うことで、明日に備えてちゃんと体を休めなさい!」
「わ、分かった」
「私はお風呂に入るから」
「うん分かった」
え……。でも、お風呂は部屋にあるんだよな。ということは
「ここで脱がずに、ちゃんとお風呂場に行ってから脱がなきゃ」
「別にいいでしょ」
「よく無いよ!」
「別に見られても困らないし。所詮人間とドラゴンだし」
「僕が困るの!」
女の人の裸を見るなんて失礼だよ。
「別に気にしなくていいのに」
「ああ、もう! とにかく早くお風呂場に行って!」
「はぁい」
そう、気の抜けた返事をしながらルイスはお風呂場に向かった。
「はぁ。これは前途多難だな」
それにしても、女の人の裸なんて初めて見た……。
いやいや、ルイスはドラゴン……。
ああ! 頭から離れない。
アルトの脳内はその事でいっぱいいっぱいだった。
一方その頃ルイスは
「ふふっ。やっぱりアルトをからかうのは楽しいわね。でもちょっと恥ずかしかったかな」
そんなことを考えながらお風呂に入っていた。




