プロローグ
今書いているラブコメ作品がひと段落ついたのでハイファンタジーを書いてみました。
これからよろしくお願いします!
「アルト=ナーベラル。貴方のスキルは無い。無能力者だ」
10歳の頃そう神父様から言い渡された。
能力というのは一つの才能の様なものだ。それが将来就く仕事の架け橋となる。10歳の頃、誰もが神様から与えられる。
他の人は
「俺は『騎士』だったぞ!」
「私は『裁縫師』だった」
とワイワイ言っていた。
しかし僕には何も与えられなかった。今まで僕はみんなより記憶力が良く、運も良かった。
そのため僕はこの村の期待だった。
「アルト君なら、きっといいスキルが貰えるわよ」
この村は小さいこともあり、顔を覚えられていた。だからよくそんな事を言われていた。
しかし僕が『無能力者』だと分かった途端
「あ、あの」
「…………」
村の皆んなから無視される様になった。
親もお金を渡して「この村から出て行ってくれ」と言ってきた。
僕は悲しかったが、この村にずっといるよりマシだと村を出ていった。
幸い渡されたお金は多かった。僕は期待されていたから、貯金をしていたのだと思う。
そのお金をほとんど渡してくるのは最後の情けってやつだったのかな。
それでも僕は大金を渡してくれた親には感謝を心の中で言いながら、村を出ていった。
***
それから5年後。僕は15歳になり冒険者として生計を立てていた。
「マヤさん。今日もやってきましたー」
「ありがとうね。いつも誰もやらない仕事をやってくれて」
「いえいえ、僕にはこれくらいしか出来ませんから」
冒険者と言っても魔物を倒したりすることは、難しいので薬草採取とかの誰でもできる仕事をやっている。
「そうだ! アルト君。また薬草採取の仕事が入ったのだけど」
「やります!」
「言うと思ったわ」
マヤさんはこの冒険者ギルドの受付嬢をしている。
僕が仕事を持っていく度に居るので、良く話している。
僕が無能力者と知っている数少ない人だ。その事を知っていても普通に接してくれてる人だ。
「じゃあ明日にその仕事をやらせて下さい」
「はーい。ありがとうね」
「じゃあまた明日お願いします」
「はーい」
僕はそうマヤさんに別れを告げギルドを後にした。
次の日、僕は薬草採取の仕事へと向かった。
いつも薬草がある場所があるのでそこに向かった。しかし
「あれ? ない」
薬草が無かったのだ。こんな事は初めての経験だ。
僕は帰ることも考えたが、依頼を失敗すると違約金を払わないといけない様になっている。だから他の場所を探す事にした。
僕は薬草を探しに夢中になっており、いつの間にか森の奥まで入り込んでいた。
そして森の奥で
「オーク……」
魔物のオークと遭遇した。僕はそこでようやく森の奥の方に来たのだと気づいた。
僕ではオークに絶対勝てない。なのでゆっくり落ち着いて逃げようとした。
「ガサッ」
僕はゆっくり歩いていると木の枝を踏んでしまい大きい音を立ててしまった。
「グオオオー!」
その音に気づかない筈もなく、目が合うと一直線でこちらへ向かってきた。
「や、やばい!」
僕はオークに背を向けて全速力で走り出した。
距離はそこまで近く無かったので逃げ切れると思ったら、途中で行き止まりになっていた。
「ど、どうしよう。オークが来ちゃう」
周り見渡してみても崖。そこで止まっているとオークが追いついてきた。
「グオオオー!」
「も、もう来たのか」
僕は決心して崖に飛び込む事にした。崖に落ちたらオークは追ってこないだろう。
「一か八かの賭けだけど、やるしかない。——うおおー!」
そう気合を入れながら崖に飛び込んだ。
***
「う、うーん……。ここは……」
僕は目を覚ました。どれくらい眠っていたかは分からないけれど、とにかくオークからは逃げ切ったみたいだった。
傷もほとんどないみたいだし、運が良かったよ。
「どうやって上に戻ろう。——うん?何だろう、あれ」
僕は崖の下で変なものを見つけた。
「ガチャ?」
と書かれている紙が貼り付けられており、中に球体のものが入っているものだった。