俺の世界でのダンジョン経営術
「こんばんわー、いつも何処かでのマッキーが送る『宴会突入レポート』の時間でーす」
入り口の方が騒がしい、年に1度のオフ会だっていうのに。
「おい、"東の"、女の子に見とれてないで話を聞け」
向かいの"西の"が絡んでくる。
「ああ、この間のイベントで出血大サービスして大赤字なんだろ」
「そーなんだけどー、あたしはー、みんなにー、うっ」
この中では紅一点なんだが、絡み酒なんたよな、こいつ。
「はいはい、吐くか呑むか喋るかのどれかにしてくれ」
「そっちはいーわよ、初級者相手にしていれば良いんだから」
と言って、残りを飲み干し、
「私のところなんか、最果ての地よ。ショボいもん出したり、難易度が適当でないと直ぐに見向きもされなくなっちゃうんだから。あっ、おかわりー」
俺の右手の”北の”は静かに飲み続けているし、左手の”南の”に至っては、起きているのかさえも怪しい。
定例として、情報交換や今後を決めていく会議の筈が、今や”西の”の愚痴を聞く会にテンプレ化しつつある。
届いた酒を一口飲んだ”西の”は、口を押さえてトイレに向かった。
ようやく静かになるのは良いが、この雰囲気はこれで何とも言えない感がある。そんな時、
「はーい、レポーターのマッキーでーす!皆さんは本日どんな集まりなんですかー?ご予約は”Dマスターの会”となってますけど」
俺達は無視を決め込んでいたのに、戻ってきた”西の”が、
「それは、私達がダンジョンマス…」
「ダンジョンを研究してマスターにでも成ろう、っていう会なんだ」
こんな冒険者だらけの酒場で、俺達がダンマスなどと知れれば、なに難癖つけられるか分かったもんじゃない。
「では、会の研究の成果を何か披露して頂けませんか?」
衆目を引いては断れず、東西南北の各ダンジョンの特徴や攻略法などをかいつまんで説明したりした。後、西のダンジョンはこの間のイベントで、無理をしたようなのでみんなで盛り上げてほしい。とも付け加えておく。
「情報有難う御座います。”ダンジョンマスターの会”の皆さんでした」
おいおい、正しい名称言っちゃてるじゃないか。って周りを見るが特に変わりはない。ホッと胸をなでつつ、会をお開きにし、それぞれの持ち場に戻っていく。
あれから変わった事と言えば、西のダンジョンが結構盛り上がったのと、”Dマスターの会”が定例で研究発表として開催される様に成ったくらいだ。
”ダンジョン経営にも宣伝は必要”
ということで