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私の妄想天国  作者: お菊
9/14

陰キャラ 2

 陰キャラくんは、メガネ男子だ。

 縁の細いシンプルなメガネの下は、中性的な容姿をしている。

 私より少し背が高く、陰キャラに不釣り合いな筋肉など見当たらない。

 最近では私に対して、丁寧に頭を下げならがらお礼を言ってきてくれる。

 もちろん私も、それ相応の返事をしている。

 姿勢がよくて、とてもいい尻をしている彼は、まさに“陰キャラ受け”に間違いない。



 背が高く、顔面偏差値がとても高い男性職員がいる。

 とりあえず彼を“いけ男2”と名付けておくことにしよう。

 いけ男2はあまり私と接点がない。

 話す機会もなければ、すれ違うこともまれだ。

 そんないけ男2とも、わずかではあるが仕事に関して接することが、少なからず発生した。

 しかしどうしたことだろう。

 彼の声を全く聞いたことがないのだ。

 そう、一度も。

 いけ男2の声はもう想像するしか、聞く手段はない。

 当てはまりそうな男性声優の声を、勝手にアテレコして脳内で編集作業をするのだ。

 しかし私は気が付いた。

 聞いたことがないのではない。

 聞けないのだ。

 彼は私にだけ話しかけず、あえて避けているのだと。




 私は陰キャラくんと仲良く仕事をしている。

 同じオフィスにいるかぎり、その様子をいけ男2が見ていないわけがない。

 陰キャラくんは、あまり他の男性職員と話をするタイプではない。

 メガネの下に隠し持ったその顔は、心を許した相手にしか見せることはなく、見てしまえば異性であろうと同姓であろうと、落ちてしまうのは間違いないだろう。

 そして同時に真面目で一途な性格は、心をひかれるものがあった。

 それを偶然知ってしまったいけ男2。

 陰キャラくんとは同僚だけあって、同じ部署内では唯一話をしやすい間柄だ。

 しかし最近では、私と言う女職員が現れて、なかなか話し掛けることができなくなった。

 そんないけ男2は、私のことを疎ましく思っていたに違いない。

 彼は私がデスクから離れたのを見計らい、ここぞとばかりに陰キャラくんへ近づく。

 そして陰キャラくんは、自分とは正反対のいけ男2の積極的なアプローチに心奪われる。


「モブ子と仲いいの?」


「え?モブ子さんはいろいろ分からないところを教えてくれるんだ」


「ふーん、そうなんだ」


 モブ子はもちろん私だ。

 この世界において、私はモブキャラにすぎない。


 二人はだんだんと距離を縮めていき、ついに結ばれる。


(お幸せに。うちは、あんたらの幸せなBL生活を祈ってるで~~~!)



 という妄想を、陰キャラくんを見掛けるたびにしている。


 ちなみに先日いけ男2は、笑顔で私に会釈してくれた。


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