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私の妄想天国  作者: お菊
5/14

パートナー


 イケ()についてである。

 彼は出勤にロードレーサーを使っている。

 そうあの〝ロードレーサー〟だ。

 あれを乗りこなし、毎日の出勤にマストアイテムとして使いこなしている彼は、やはりそんじょそこらのやつとは違いを見せていた。

 ママチャリなどではない。ロードレーサーだ。


 それに乗って出勤するときや、退勤するのを私は何度か目撃している。

 そして偶然にも私は、目撃するだけではなく〝すれ違う〟ことに成功しているのだ。

 そうそれは、挨拶を交わすことを意味している。

 何度でも言おう。彼はイケているメンズ。イケメンなのだ。

 見た目だけではない。中身もそれはもうイケている。

 すれ違えば必ず挨拶をしてくれるそれもういい子だ。

 先日も私が外出から戻ると、彼はちょうど退勤する時刻だったようで、ロードレーサーに乗って出てきた。


「お疲れ様です!」


「どうも、お疲れ様です」


(あかんよ、この距離でそれはあかん。あんたの笑顔、人を射ぬくで!!!)


 私はまたしても普通の挨拶しかできていない。

 だが仕方がない。私はイケメンに対応できるステータスもなければアビリティもないのだ。

 だが今回私はひらめいた。


 彼の(つがい)を。彼のパートナーを。


 あんなイケてる彼は攻めに違いないと、私は常日頃から考えていた。

 しかし、そのような軽率な考えを持っていた私は愚か者だ。

 彼に相応しい番。それは、本部長だ。

 私の働くこのオフィスは支店だ。本部は別にある。

 つまりこのオフィスで一番偉い役職についている本部長、その方こそが彼に相応しい番だった。

 本部長は背が高く、がたいもいい。黒淵メガネで、いつもワイシャツにネクタイ姿という凛々しいお姿をしている。

 私が挨拶をするといつもぴしっと返してくれる〝できる男〟だった。

 あの本部長は〝攻め〟以外の何者でもない。

 年上で仕事ができて、地位も高く攻めとしての力量は申し分ない。

 イケ男くんは攻めだとばかり思っていたが、本部長とのBL(ボーイズラブ)を考えると、自然にそれを受け入れられる自分がいるではないか。

 恐らくイケ男くんは攻めでも十分魅力がある。

 しかしもっとも彼が引き立てられるのは〝受け〟に違いない。

 本部長とのカップリングは、これ以上ないほどの適任だった。

 しばらく私はこの「本部長×イケ男くん」で生きていけるだろう。

 本部長がどのようにして攻めていくのか、妄想は膨らむばかりだ。

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