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私の妄想天国  作者: お菊
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妄想の始まり

これは私生活の中で、日々ボーイズラブというジャンルを脳内で妄想する一人の女の話である。

身の回りに存在する(おす)を、♂×♂で妄想する腐女子の勝手な思考と言うなの、嗜好(しこう)(つづ)っている。

 私は男性が割合をしめている職場に最近転職した。

 他の部署にはまぁまぁ女性はいるけど、全体の一割程度しか働いていない。

 つまり、新しい職場は男性に囲まれた〝妄想天国〟というわけなのだ。

 最初はそんなことをまったく考えずに仕事に取り組んでいた私は、男性ばかりの新しい職場に空気のような存在だった。

 話しかけることもできず、ぽつんと一人で与えられる仕事を待っている毎日。

 小中の同級生が働いていたことは私のなかで唯一の救いだ。

 男性人のなかで話し相手になってくれる存在がいるのはありがたい。

 しかしそんなことはどうでもよかった。

 私が出会ったその場面は、突然やってきたのだ。

 その日は朝早い時間帯に出勤して、先輩である女性に新しい仕事を教わっていたのだが……。

 すぐとなりには会社で取り扱っている物品を仕訳してある棚がある。

 その棚の前で一人の男性社員が、下の棚を見て探し物をしていた。しゃがみながら探している姿を、私は気にすることなく視界に入れる程度で存在を認識していた。

  先輩女性の話を聞いていたら、ふとその視界にもう一人の男性社員が現れたことに気がつく。

 私に背を向けながら話を続ける先輩女性から視線を反らし、棚の前にいる男性社員二人を二度見、いや三度見はしただろう。

 最初に探さしものをしていた一人に、もう一人が後ろから覆い被さるようにじゃれあっているではないか!


(え!えぇぇぇ?!お前ら、人前でなにしとん?なに人目もはばからずじゃれあっとるん??そっちなん?お前らそっちなん???!)


 説明してくれている先輩女性の話に「はい、はい、わかりました」などと返事をしている私だが、すでに裏の(つら)は話を聞いていない。表の(つら)はいい子を装って、いつもの猫かぶりをしている。

 何度見したかわからないが、先輩女性の後についてその場を離れなければならなくなったときの口惜しさ。


(ああ、今やねん。今やつらの行為を見ていたいねん。今度いつ見れるかわからんあの光景を目にとどめておきたいねん!)


 そう心で叫けんでも誰が聞くこともなく仕事に戻る私は、今後この〝妄想天国〟を拡張させるため日々奮闘することとなる。

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