IV
「…さい…………起きなさい!」
「はっ!」
「もう朝よ、あなた制服のままで寝てたんだからシャワー浴びなさい。休みの日だからってだらだらしないこと。お母さんとお父さんはもう行くからね。」
私はどうやら、フランを追い出してからそのまま寝ていたらしい。
「分かった。今回はどんくらい滞在するの?」
私の両親は音楽家だ。世界的なオーケストラに参加していて、海外を飛び回っている。
「3週間よ。いつものように、ひろおばさんがたまに顔出してくれるから。」
「うん。気をつけて行ってきてね。」
「お母さーん、行くよー」
玄関からお父さんが呼んでいる。
「はいはい」
2人を見送りに玄関に向かう。
「じゃあね、ハニー。いい子にしとくんだよ。」
きつく抱きしめられた。
お父さんは若干、ウザイ系の人だ。
「分かった分かった。行ってらっしゃい。」
私は両親の車が見えなくなるまで外に出て見送った。
「さ、シャワー浴びよー」
家に戻り、シャワーの準備をしようと自室に入った。
「………………」
「よっ!」
満面の笑みで、右手を挙げてる奴がいる。
昨日追い出したはずのフランだ。
「どうやって入ったのよ!」
「どうやってって、鍵が空いてたから玄関から。」
見送ってたときか……。
しまった。