表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

王城にて 2

部屋の広さはバスケットコート一個分くらいで、扉の豪華さの割には少し狭い気もするが王女1人で使うには十分だろう。優美な刺繍の施された絨毯が敷かれていて、ベッドや化粧台、タンスなどは大きさも装飾も一級品だ。

しかし、肝心の王女様がいない。


「誰もいないようだけど・・・・・よく考えたら女の子の部屋に入るの初めてだ!! やべぇ、さらに緊張してきた・・・・・」


「あんた、私の友達を飢えた獣の目で見たり、いきなり襲い掛かったり、話しかけたら一瞬で殺すわよ」


アリアの青い瞳が深みを増し、まるで深海のような冷たさと暗黒を連想させる。

前に出した手のひらの上に何か青い光が集まりだした。

ほどばしる殺意、この少女、本気だ・・・・・。


「だ、大丈夫だって!! そんなことしな・・・・・話しかけるのもダメなの!?」


「当たり前でしょ。あなたみたいなゴミ屑が王城に入ること自体、王国始まって以来の大事件なのにさらに私の友達のエリアーデ王女と会話できると本気で思っているの? 身の程をわきまえなさい!!」


さらに強くなる殺意。それに比例して青い光もさらに強く輝きだす。


「す、すみませんでした!! 私のような部屋の隅っこに溜まったホコリが王女様と謁見できること自体、大変ありがたいことなのに、その上お話したいなどと不遜な願いを持ってしまったことを心からお詫び申し上げます!!」


ユウキは直角90度で背筋をピンと伸ばし、お辞儀をした。土下座をしようかとも思ったが、ゴマ一粒程度の男のプライドがそれを阻んだ、阻んでくれた。


「フンッ、分かればいいのよ」


アリアは手の上の青い光を握りつぶし、ひとまず殺意を消した。


「はぁ・・・・・エリアーデはかくれんぼが好きなのよ。私が遊びに来るといつもこうやってどこかに隠れて・・・・・まったく、本当に面倒だわ。あなたも探すのを手伝って」


アリアはそう言うと、ベッドの下やカーテンの裏などを確認し始めた。


(王女様ともなると色々なしがらみがあって窮屈な生活をしているだろうから、友達の前だけでも羽目を外したくなるのかな。まぁ、そんなことより早く魔法を使いてぇ・・・・・)


アリアが出した青い光は、何かの魔法を使う前触れのようなものなのだろう。

やっぱり、異世界に来たからには魔法は使わないといけない(使命)。

あと、できればエク〇カリバーも欲しい。魔法使いよりも騎士の方がカッコいい。


ユウキはエリアーデ王女とやらを探すため、クローゼットに手をかけた。


(・・・・・まてよ、女の子のクローゼットとか勝手に開けてよいのだろうか? さすがにクローゼットの中に下着はないと思うが)


・・・・・いや、これはかくれんぼだ。そんな甘いことを言っていてはいけない。

子供の頃・・・・・そう、暗殺者と呼ばれていた頃を思い出せ。

かくれんぼで鬼役になったユウキは、いつの間にか隠れる役の友達の背後や隣に姿を現し、隠れる役になったら、絶対に見つからなかった。

鬼ごっこでは、逃げる役に逃げる隙を与えないほど素早く捕まえていた。背後からの奇襲もお手の物だった。

暗殺者すぎて小2になると、友達は「あいつがいるとすぐ終わっちゃうからつまんねぇ~」と言って遊びに参加させてくれなくなった。それからは図書館に入り浸るようになったので、暗殺者としてのユウキは幕を閉じた。


結局、何が言いたいのかというと・・・・・『後でタンスの中も確認しようっと』


「フッ・・・・・まるで宝探しだな」


ユウキはクローゼットを開けた。


「アリアァ~~~~~~!! ひっさしぃぶりぃ~~~~~~~!!」


「ボフッ!!」


クローゼットを開けた瞬間に、金髪の少女がユウキめがけて跳びかかってきた。

顔面に直撃する少女の胸、これがアリアの胸だったらかなりの衝撃だっただろうが、ありがたいことにものっそく柔らかかった・・・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ