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レベマで駆け抜ける異世界転生!!  作者: 真理雪
第4章・【精霊都市】アストリア
46/51

#38,エ◯フ

 あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく。今年一発目から遅れるとは、先が思いやられますね。


 この場に似合わない静かな風が駆け抜ける。緊迫した空気と言えばいいのか…俺にはこの空気が重さをもってのし掛かってきているように思えた。特に視線が痛い。その中でも桃色の髪の少女が敵意に匹敵するほどの視線を向けて来ている。それの元凶たるフィーナは気づいていないのか。そもそも気にしてないのか、俺に笑顔を向けてくるのみだ。可愛いけど…俺にはどうすればいいのかわからん。


「姫様っ!」


 俺が現実逃避しかけていると、痺れを切らしたらしい桃色の少女が沈黙を破った。


「な、なにをしていらっしゃるんですか!? 貴女も貴女です!離れてください!!」


 彼女は俺とフィーナの間に割り込んで勢いよく引き離す。そして、フィーナを背にかばうようにしながら言った。敵意丸出しの声で。


「貴女は何者ですかっ!? 姫様とだきっ──ごほん…接触されるなどっ…無礼な輩! 獣人は野蛮な者が多いと聞きますが、これほどまでとは…」


 彼女は目尻をつり上げながらそう言う。

 おや?…これってもしかしなくても俺のせいになってない?


「えーと…なんじゃ。誤解じゃ誤解。妾はまだなにもしておらんぞ」


 と、俺は両手を上げてアピールするが。


「何かする気だったのね!?」


「ぬっ!? それこそ誤解じゃっ!」


 取り合ってくれず、逆効果であった。


「誤解もなにも抱き合ってたのは事実でしょ!それも公衆の面前で!」


「ぶっ!? いやいやいやっそれはフィーナからしてきたことじゃっ。妾は関係無いぞ!」


 わたわたと首を振って俺は必死に否定するが、威嚇してくる彼女は止まらない。助けを求めて俺は一縷の望みをかけてアリウスたちにを目をやったが、こいつら視線を合わそうとしない!アリウスだけは苦笑いしながら見ていたが、どう対処したものかと悩んでいるようだった。この役立たずどもーっ!


「ま、待ってくださいエリザっ」


 ようやくフィーナから制止の言葉がかかった。エリザと呼ばれた彼女は言葉を喉に詰まらしながらもようやくストップし、フィーナに顔を向ける。


「…どうしましたか姫様」


「もう、エリザっ。ダメですよ。この方はわたくしの大事な客人です。そんな非礼…わたくしが許しません」


「……申し訳ありません」


 エリザはフィーナに窘められると素直に頭を下げる。だいぶ渋々のように見えたが。


「カエデさまにラタトスクさま。申し訳ありません。彼女はわたくしの側近の近衛兵士。その立場上どうしても見知らぬ人物には警戒してしまうのです。決して貴女さま方を傷つけようとした行動ではありません。分かってくださいませんか…?」


「む…。分かっておる。別に妾は気にしておらんからそちらも気にするでないのじゃ」


「そうですか。寛大なお心遣いありがとうございます。カエデさま」


 そう言って彼女は嬉しそうに柔らかく微笑む。


 ふぅ…一時はどうなることかと思ったが、どうにか収まったようだ。この時になって俺はやっと他のことに意識を向ける余裕ができた。一番目につくのはやはりと言うか彼女らの服装である。フィーナとは前に会ったことがあるが、あの時は外行きの目立たない地味なものであった。あの時は彼女の美貌に服装があっておらず、凄く残念に思ったものだが、今回はまったく違う。俺はいろんな意味で眼を見張った。


 彼女は緑色を基調としたドレスを身に纏っていた。───それだけならまだいい。全体的に見ればそれは彼女の美貌を一層引き立てる代物であると言えよう。しかしだ、それは至って普通のドレスではなかった。

 形状はお腹で上下に別れているタイプのもので、腰にある茶色のベルトがスカートがずれないようしっかりと固定しているようだ。言わずもがなであるが、白い肌と臍が丸出しである。まあ…それは百歩譲って良いだろう、俺もだからね。俺がそれを指摘したらどの口が言ってるんだとまたやいやい突っ込まれそうだし。そして、一番言いたいことは…まだ別にあるのだ。そう…生地が凄く薄い(・・)ということだ。胸などの大事なところはちゃんと隠れてはいるようだが、全体的に薄いベールのようなもので構成されているドレスなのである。うっすらと素肌が見えるようなものでそれが余計に…エロく見える。それのお陰かふんわり感が助長され、女の子らしさがこれでもか!と言うほど出ているのは良いのだが…。まあ何が言いたいかと言うと、目のやり場に困るんですが(主に俺が)。


 (エルフ族はエーテル…まあ魔力のことですが、それを肌から取り入れるため、地肌を大気に接触しやすい服装が主流なんです。生地が薄かったり、布地が少なかったりするのはそれの影響ですね。特にエルフの女性に多く、魔術士関連の方が概ねそのようです)


 俺が戸惑っているとナイスタイミングで補足してくる我がサポート役ことラタトスク。彼女は何故か自慢げに鼻息を鳴らしている。

 その説明に俺はさすがエロフと言われるだけあるな…と口に出すには憚られる言葉に妙に感心していた。うん。なんだか凄い納得です。


 そして、フィーナの傍らに立つ存在に俺は目を向ける。“エリザ”と言う少女はその見た目からして特徴的な人物だった。


 (ピンク色の髪…??)


 先程から気にはなっていたが、耳が長いというエルフの特徴を残しながら、桃色の髪を靡かしているこの少女は、このエルフばかりの場所では些か奇妙に写る。俺も十分浮いてるけど…それはさておき。

 彼女は不機嫌そうに形の良かったであろう唇をへの字にし、腕を組んでいまだに睨みを利かしている。言うまでもなく美少女である彼女の格好はドレスでありながら鎧であることも一目で理解できるものであった。間違いなく特注品であろうそのドレスは広がったフレアスカートに白く塗りあげた鉄盤を重ねることで防御と美しさを両立させた見事なものだった。それ以外にも所々桃色をあしらわれたガントレットだったり、レギンスだったり、胸当てだったり、どれもが彼女らしさを引き立てるように作り上げられた、これぞ“戦闘ドレス”と言えるものだったのだ。異世界のデザイナーって本当マジすげぇ…。と感嘆を通り越して感動を覚えてしまう俺だった。


「アリウスに第二師団の方々。カエデさまをここまで連れてきてくださり、ありがとうございました。難しいお願いでしたが…さすがかの第二師団ですね。無事完遂し、帰還されたこと本当に感謝いたします」


「お褒めに預かり光栄です」


「お疲れでしょう?カエデさまはわたくしがご案内致しますので、貴殿方はゆっくり休息をとってください」


「お心遣い感謝します。───では、わたしたちはこれで」


 彼らはフィーナの気遣いの言葉を受け、自身の主人に一礼を、そして俺の方にも一礼を律儀にしてから踵を返しその場を後にする。


「そういえば…その仮面はどうされたのですか?」


 俺が去る彼らの後ろ姿を見ていたところに彼女はそう聞いてきた。小首を傾げる仕草は可愛らしかったが、まさか聞かれると思っていなかった俺は言葉に詰まる。ものの数秒で考え出した俺の回答は。


「えーと…イメチェンかのぅ…?」


 と、お粗末なものだった。

 そんな答えに彼女はぱちぱちと大きな瞳を瞬かす。頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいるようだ。


「いめちぇん?ですか…?」


「ああ、分からぬか…。イメージを変えることをイメチェンと言うのじゃ。ほれこうすると…カッコいいじゃろ??」


 俺は頭に着けていた狐面を被って見せる。


「ふふっ。なるほど…確かにカエデさまに似合っておられますね♪」


「ふん。ただの変人じゃない…」


「うぐっ」


 なんだかグサッと心に刺さることを言われた気がした。見れば腕を組んだ不機嫌極まりないピンク色の彼女がこちらを見ている。


「なんじゃっ。この…っ───淫乱ピンク!!」


「はぁ!? 誰が淫乱よ!!」


「そなたしかおらぬじゃろっ!」


「私は淫乱じゃないわよ!それを言うなら貴女の格好の方がそうでしょうが!口調も変だし!」


「うっ。仕方なかろう!口調は言ってくれるなっ直せないのじゃから!あとこの服装は妾の一張羅じゃ!レア物なのじゃぞ!馬鹿にするでないっ」


「はっ!なら、私のもオーダーメイドなんだからレア物よ!」


「フリフリピンクの癖によく言うのぅ!それが鎧か!」


「貴女だってヒラヒラレッドでしょうが!皮鎧にもなりやしないでしょ!!」


 な、なんだこいつっ。可愛いくせして失礼極まりないんだけど!初対面で俺の黒歴史(きずぐち)を抉ってくるとはっ。なかなかやりおる!


 と、いきなりケンカしだした俺とエリザ。俺とはそりが合わないのか彼女は猫のようにシャーッと威嚇してくる。それを仲裁しようとするフィーナはどう止めようかと戸惑ってわたわたするばかり。

 俺たちの醜いいがみ合いに終止符を打ってきたのは誰も予想もしていなかった闖入者だった。





「───お黙りなさい!王家の宮殿で騒ぐとはなんたることか!」





 辺りがしん…と静まり返る。エリザはしまった!と後悔を顔に滲ませながら、口をつぐむ。俺はその切り裂くような厳しい声色に言葉が詰まり、咄嗟にそちらへ顔を向けた。


 そこには金色の髪をアップに纏めた絶世の美女が使用人らしき人たちを侍らせてそこに立っていた。厳しそうな切れ目の双眸。額に皺を寄せている様子から不機嫌さがありありと見てとれる。切れ味の良い刃のような峻厳な態度。その様子に何故か誰かに似ているような既視感を覚えた。


 彼女はブーツの踵をかつかつと鳴らしてこちらへと歩み寄ってくる。


「フィーナ。これはどういうことかしら?ちゃんと説明してくれるわよね?」


 少し高飛車な口調にフィーナは畏まる様子を見せる。


「お、お母さま。はいっ。このことはわたくしの口からしっかりとご説明させていただきます」


 え? フィーナの…お母さん!?


 予想外の闖入者はフィーナの母親。このアストリアの王妃、“フィーニア・フローラ・アストリア”であった。

 

 いつもお読みいただきますありがとうございます。誤字脱字矛盾点など気になる箇所があれば言ってくださると助かります。


 さてさて年もとうにあけ、正月も三ヶ日も過ぎ、月曜日はたしか成人の日ですか。それは自分には関係ありませんが…過ぎるのは早いですよね。今年はどんな年になることやら。


 今回もお読みいただきありがとうございました。また次回もよろしかったらお読みください。ではまた。

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