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レベマで駆け抜ける異世界転生!!  作者: 真理雪
第3章・森の旅人
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#33,エルフの地へ 4

 そろそろ閑話が入る予定です。


 俺とタマネさんは部屋に戻り、先程と同じ位置に座り直す。そしてコホンっと小さく咳払いを。


「さて、先程の続きをしたいところなのですが…それよりも先にはっきりしてしまいたいことがあります。それはこちらのカエデさんがその招待を受けるか否かです。貴殿方の話を聞く限り強制はしないようでしたので、それを決めてからこれからの対応を決めさせてもらいます」


 そう言うと彼女はこちらに視線を向ける。皆の視線は自然と俺に集まった。居心地が悪い…とか軽口を言っていられるような雰囲気ではなさそうだ。


「む、むー…」


 とその雰囲気に気圧されて口ごもる俺。正直俺はどちらをとればいいか悩んでいた。タマネさんに告げられた現実を鑑みると、この招待を受ければあらぬ誤解を生んでしまいかねない。そんな危険を犯してまで俺はこれを受けてもいいのか。俺は唸りながら悩み考える。すると。


「カエデ殿。どうかこの招待を受けてもらえないでしょうか。姫様は優しいが故に自分から人に頼むことはしない性格なのです。しかしながら、姫様はここまで会いたいと仰られています。ここまで積極的に動く姫様は珍しい。もう一度、会っていただけませんか」


 アリウスはその真剣なる眼差しで俺を見つめる。数秒睨み合った。その視線に根負けしたのは俺の方。緊張のあまりいつの間にか止めていた息を勢い良く吐いた。


「わかったのじゃ。妾はその招待を受けよう」


 やめだやめだ。深く考えるのはやめだ。世間体から何を思われようと“会いたいから会った”のは違いない。それ以上の理由もそれ以下の言い訳もない。ならばそれで良いじゃないか。それに当初の目的──“始精霊を探す”こともエルフの国に行けば進展が見えるのではないだろうか。ラタトスクもそれならば拒否は出来まい。エルフの国“アストリア”は別名『精霊都市』とも言われ、精霊が生まれ帰る場所と有名である。精霊を探すならうってつけの場所だろう。


「ありがたいっ。感謝するカエデ殿」


 ピリピリとした緊張感に包まれていた四人にほっとした空気が漂った。しかし、話はまだここからである。


「では、これからの予定を決めましょうか」


 と、タマネさんはそう口火を切った。


 まずいつ出立するかと言う話になったのだが、それはアリウスからの提案で明日の早朝と言うことになった。彼が言うには“足”を用意してはいるが夜は危険が伴うらしい。ので、今から出立してもそう距離を行かない内に降りるはめになる。そう言う事情を兼ねて早朝と言うこととなった。そして二つ目、彼らの境遇についてだが、それはギルド内部で秘匿処理をするとのこと。本来なら本部に渡さなければならない情報もこのギルドで隠匿してしまうらしい。俺は咄嗟に大丈夫なのか?と忠告ぎみに問うたのだが…「カエデさんのことも本部には言っていません。今更ですよ」と、ニッコリ微笑んで言われてしまった。そう言われてしまえば俺としては何も返せない。無言で目を逸らして納得するほかなかった。

 そうして決まったこれからの予定としては、アリウスたち四人は一時的にこのギルドで寝泊まりさせ、俺も道連れ的に泊めてもらうことになった。注意事項としては、外出は極力控えること。旅支度は手短に済ませること。ギルド職員にも接触は控えること。外で厄介事は起こさないこと等々…。まあ、いろいろなことを言われたがどちらにしろ「大人しくしていろ」と言うことのようだ。


 旅の日程は二日半ほど。天候によって左右されるが大体それぐらいでエルフの森には到達できるそうだ。馬車で行くのならば通常“北の森”を迂回して通る道を使うため、早めに見積もっても一週間ほど。行路によれば渋滞している場合もあってそれ以上の日数を覚悟しなくてはならない。しかし、彼らの言う“足”ならば大幅に短縮できるらしいのだ。どんな物なのか興味があるが…それは機密事項のため言えないとのこと。それに乗ることになる俺には仕方ないが、関係のないタマネさんは大層残念がっていた。


「今回はこれくらいで御開きに致しましょうか。時間も差し迫っていますし、エルフ族の皆さんにはお部屋へご案内致しますね」


 ある程度話し終えたところでタマネさんがそう締め括る。


「分かりました。何から何までありがとうございます。カエデ殿にも今日は本当にお世話になりました」


「む?ああ気にするでない。あれは妾がやりたくてやっただけじゃしのぅ。そなただけでも対処はできたじゃろう」


 そう言って素っ気なく手を振る俺。


「いえそんなことはありませんよ」


 そんな俺にアリウスは真摯な眼差しで頭を下げてきた。


「貴殿のお陰で皆無事に辿り着くことがでしました。わたし一人では力及ばず、カエデ殿がいなければどうなっていたかは分かりません。本来なら団長であるわたしが仲間を守らなければいけない立場…。あの時貴殿が止めてくれたからこそ、そして貴殿が手を回してくれていたからこそ、わたしたちは無事にここに辿り着けたのです」


 その態度に少し面喰らってしまった。そして同時にこの団長は良心のある人柄の良い人物なのだなと感じた。腰の低いと言い換えてしまえば悪い意味に取られてしまいがちだが、自身の信条を忘れずそれでいて仲間を守ろうとするその心意気は俺には眩しいモノのように写った。


「…そうか。役にたてたのなら良かったのじゃ」


 俺はそう言って早々と踵を返す。


「では後は任せたのじゃタマネっ!妾は宿にキャンセルを伝えてくるからのっ」


「えっ!カエデさんっ??ちょっと!」


 タマネさんの慌てた声が後ろから響く。それを無視して俺は部屋から逃げるように飛び出した。


『どうしたのですか?』


 横から独特な声が聞こえた。それはいつの間にか着いてきていた白い仔竜。


「別に何もないのじゃ」


 俺は吐き捨てるようにそう言った。ラタトスクは信じてなさそうな視線でこちらを見続ける。


「…ただ居心地が悪かっただけじゃ」


『居心地…ですか』


 その視線に負けて適当な言い訳を吐く。ホントにこう言う視線に弱いな俺は。

 ラタトスクは溜め息の様にフシューッと息を吐き出してから言葉を続けた。


『それでは仕方ないですね。あ、エントランスへの階段はその角を右手に進んだ先ですよ』


 彼女は不自然に話題を打ち切り道を教え出した。ここで迷子になった俺としてはありがたいことだが、この急な話題転換に何だか不自然極まりない。

 チラッと彼女に視線を向けてみれば、いつも通りのような感じもする。…竜の表情なんて分かるわけないけど。

 俺としては聞かれない方が良いのでそれはそれでいいか。と自己完結させた。


 


 俺は歩きながら考える。エルフの国とは言い換えると異種族の地である。これからどのようなことが起こるかなど予測不可能だ。出来ることならいろいろな準備はしておきたい。…やはり“アイテム”無しはキツいよな。あの“カエデ”が言ったように早くなんとかしなければいけない。


 気持ちを新たにし、俺は新境地に赴くため準備に取り掛かった。




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