表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

第1章-先を視る- 3話

「ストーカーに遭ってる?お前が?」


受話器の向こうから馬鹿にするような笑い声が聞こえて、僕は頭痛を覚えた。


「…笑うなよ、( あきら)。本当なんだ。毎日決まった時間に電話がかかってきたり、メールが届いたり…本当に困っているんだから」


「ふぅん。お前に熱烈なファンがいるなんてびっくりしたよ。良かったじゃないか」


冗談なのか本当なのかわからない事を言って、昭はまた笑う。

…嫌な奴だが、敬凪昭( けいなぎあきら)とはイギリスで暮らしてた頃からの友人だ。

まあ友人といっても、イギリスには日本人が少ないから、彼と一緒にいたってだけ。

だが、今は友人同士楽しい話をしているというわけではない。昭は能力者や呪いを研究している、言わば研究者って奴だ。

その研究者に、少し能力者について教えてもらっているって事。


「ただのストーカーならまだ良いんだけどさ…彼女は一般人ではなくて、邪視系の能力者だと思うんだ」


「へぇ。そりゃあ、また何で」


「僕が考えた理由じゃないけど、未紗…いや、助手が言ってた。ウチの助手は能力者とか吸血鬼とか、人間じゃないモノがわかるらしいんだ。そういう能力ってあるのか?」


「うーん…似てる能力なら。透視っていうやつが」


透視。テレビでよくやるマジックで使われたりするアレか?けれど、それって人の臓器とか、箱の中の物が見えるってだけじゃ?

などと考え込んでいると、受話器の向こうから昭の声が聞こえてきた。


「もしもし、光?…一人で考え込むのはお前の悪い癖だ」


「ごめん。それで透視っていうのは?」


「お前もテレビで観た事あると思うけど、箱の中身を当てるとかトランプの絵がわかるとか、そういう風に使える。でもそれだけじゃない。心を読むことだって出来るんだ。まあ助手さんが箱の中身を当てる事が不可能なんだとしたら、透視ではないけど……あ!ひょっとしたら新種の能力だったり」


そしたら研究が必要だ!と一人盛り上がっている昭に、僕はまた頭痛を覚えた。


「そうだった。ストーカーの能力だったよな。ストーカーが使いそうな邪視系の能力って言ったら…千里眼がある。千里眼って透視の一瞬でもあるんだけど、千里眼を使える奴は他の透視能力が使えないんだ。希少な能力だよ」


「遠くを視る能力か。確かにストーカーにはぴったりかもしれない。ありがとう、昭」


「良いさ。…あ、どうしてもお礼がしたいっていうなら、君の助手さんの能力を調べ…」


まだ喋り続けている昭に構わず、僕はすぐに受話器を置いた。

彼の研究能力は評価に値するけれど、研究にのめり込み過ぎるのは悪いところだ。


さて、どうにかして能力者のストーカー行為をやめさせないと。


「…それにしても、千里眼か。厄介な能力だな」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ