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第1章-先を視る- 1話

冬はあまり好きではない。特に十二月は。三階建ての小さいビル…その屋上に居ながら思う事ではないかもしれないが。

視線の先には高層ビルがいくつも立ち並んでいて、喧騒が聞こえる。

今日が十二月三日だからか、あの日の事を考えてしまう。


白い溜め息を吐いて、僕は暫し昔の感覚に浸る事にーーーーーー



「ああ、居た!光さん!」


回想、ゼロ秒。屋上の出入り口から駆け寄ってくる少女を見て、僕はまた溜め息を吐いた。


彼女は緒川未紗(おがわみさ )という、自分より一つ年下の女性だ。ファッションデザイナーを目指しているとかで、色々な服を作っては僕に着せようと押し付けてくる。技術も才能もあるのに、そういうところは本当に残念だ。


「光さんって不思議ですよね。十二月三日になると屋上に行くなんて。寒いの嫌いだって言ってたのに」


屋上の冷たい風に晒されても、彼女は笑みを崩さない。

暗い紫色をしたセミロングの髪と、黒ずくめの洋服。見た目は大人しそうな感じがするのに、明るくて元気な声色。凄くちぐはぐな人間だと思う。昔、一度だけ出会ったあいつの様にーーー


「僕の事は放っておいてくれないか。今は休憩時間だ」


「嫌です。それにほら!また洋服を作ったんです!これ、光さんに合うと思って」


暗い色の少女は、暗い色の洋服を差し出して笑った。

また黒か…いや、それより、


「僕がワンピースを着ると思ったのか?それに何だっけ…ゴスロリっていうやつだろ、そういうの」


「ゴスロリじゃないです。ゴシックガーリーです。光さんは女の子っぽいし、童顔だから似合いますよ!」


「つまり女装しろって事だろーーー嫌だね。君の従姉妹とやらにでも着せておきなよ」


「無理です、これ女性用じゃなくて男性用のサイズですから」


「…本当、才能の無駄遣いだよな」


今なんて言いました?と聞き返してくる彼女に「何も」と言い返して、一階へと向かう。


小さいこの建物は、僕の探偵事務所だ。




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