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8話「冒険者ギルド」

 俺とアリスは魔王討伐の報告をする為、再度、異世界へとテレポートし意気揚々と王城へと歩を進めた。


「おお! ここが王城なのか! わくわくすんなー! 勇者様の凱旋だぜ!」

「うんっ!」


 このユーグリットの守護女神たるアリスの役目は、星の平和を維持するのはもちろんのこと、それとは別に光側の神々の代表者として確固たる基盤を作る為にも、信者を集め信奉されないと、駄女神の烙印を押されるとのことだった。

 

 まあアリス専用の勇者の俺が、魔王を倒したのでその評判は瞬く間に世界中に広がり、女神アリスティアの信者も増えることになるんだろう。

 

 昨日は何か言いたげだったアリスだが、今日はことのほか機嫌がよく常に満面の笑みでニコニコしている。

 そして俺も勇者として大衆から羨望の眼差しを、一身に受けるんだろうと胸を躍らせていた。


 ところが王城の守衛は「さあ、帰った帰った。こちとら忙しいんだよ」と、門前払い。


 そう誰も知らなかったのだ。

 魔王が復活し倒されたことさえも。

 それとは別に何か物々しい騒々しさも感じてはいた。

 王国は何処かに戦を仕掛けるようである。


「おいっ! アリスどうなんてんだよ! 話が全然違うじゃねーか!」

「アリスにもわかんないよ」

「ちゃんと魔王が復活したのは伝えてあったんだろ?」

「あっ!」

「あん?」

「なに、驚いたような顔してんだ?」

「ああ~ん。ハジメどうぢよ! この星の人達には何も伝わってないよー」

「はああ~ん」


 涙目でわんわん喚くアリスの話によると、天界からの放送を間違えて地球にしてしまった為、この星の人々は何も知らされてなかったらしい。

 死ぬほど恐い思いまでして魔王を倒した。

 俺はすごく残念だ。

 だが、アリスの落ち込みようは、俺とは比較にならない。


「世界は救われたんだ。もう魔王を倒したとか、どうでもいいじゃないか」

「――でも……それじゃ……」

「しょうがないだろ? 自業自得じゃないか」

「アリスの信者が増えないよ……」

「魔王の他にも裏ボス的な邪神なんかも、いるかもしんねーじゃん? ともかく折角だし、冒険者ギルドでクエストでもやってみようぜ! 何かしらの突破口があるはずだ。だから、もうそんなに肩を落とすなって、俺に任せときな!」




 ◇◇◇




 俺達は冒険者ギルドへと足を運んだ。


「あら、見ない顔ね」


 赤髪の冒険者ギルドの職員のお姉さんに、声をかけられた。

 

「あのう。冒険者ギルドの登録したんですが……」

「こっちのカウンターに来てもらっていいかしら? この用紙に名前を記入してもらっていい?」


 俺とアリスは手渡された申込用紙に記入する。


「そういや……アリス。俺がこの世界の言語や文字を理解できるのは、何故なんだ?」

「アリスと契約したからなんだよ」

「ああ、なるほどな。ほい、お姉さん記入できましたよ」

「えーっと、どれどれ。年齢が17歳で名前がところざわはじめ? 随分と変わった名前ね……。服装も変わってると思って気になって声かけたんだけど、どこか遠い異国の人なの? 黒髪黒眼なのも珍しいわね」

「遠いちゃ遠いです! あ、名前はハジメでいいです。そっちがファーストネームなので……」


 今度はアリスが提出した。


「あら……年齢が一万二千年に……? 16歳? これって記入ミスなの?」

「ううん。アリスは女神なんだよ」

 

 へっ……一万二千年だって?

 お姉さんは苦笑いを浮かべ、一万二千年に線を引いて消した。


「名前はアリスティアちゃんね。二人ともOKよ。二人分の登録料で銀貨2枚ね!」

「え、お金いるの?」

「もちろんよ。冒険者ギルドが発行するギルドプレートはミスリル製だし、パーティリングだってそれなりの物なのよ」


 ぼけっとしてるアリスに尋ねる。


「アリス。銀貨2枚だってよ? おいっ? 聞いてるのか?」

「アリスはお金もってないよ。ハジメの防具買う時に全部使ったんだ」

「あら、持ち合わせがないのね。だったら登録は次回にしとく?」


 次回って言われてもなぁ……。

 日本円でいいのか?


「困ってる時はお互い様だ。登録料ぐらいあたしが払ってあげるよ」


 ん……? 誰だ?


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