行動開始と一つの誤算
「じゃあさっそく〜♪」
上機嫌になったモシナは軽く目を閉じると腕を横に上げ、力をこめる。
すると、何もない空間から一挺の狙撃銃が具現化した。腐っても神は神。何もなくても物を作り出す事など容易である。
「ふっふっふぅ〜♪出来た出来た、上出来だ〜!名付けて、『スナイパーライフル・モシナカスタム』!」
銃の名称に自身の名前を付けただけという子供らしいネーミングセンスだがその性能は折り紙付きである。《LH・ウェポン・オンライン》の主武装である狙撃銃のデータを元に彼女が作り上げたもので、近距離での取り回しは利きづらいもの、銃身の長さが従来の物より延長されているため安定性が高く、初心者でも扱いやすくなっている。更には、「神さまが使うんだから強くないと駄目だよねー」というモシナの考えによりゲーム内には存在しなかった。《ズーム距離無限》、《射程距離無限》などの彼女の中での最強スキルがありったけ付与されている。
このチート性能を持つ銃で何をするのかというと、
「さっそく、10人のプレイヤーに撃ってみよ〜!」
との事だった。『10人のプレイヤー』というのは、勿論、彼女が妬んでいるランキング上位、1〜10位のプレイヤーの事だ。
窓を開け形だけ、狙撃銃を構える。《スキル》の効果によりどんな体勢から撃ってもロックオンした相手に向かっていくのだ。
「ここから僕の計画が始まっていくね〜」 「ウフッ♪」
凄惨な笑みを浮かべながら引き金に手を掛けた。
―弾丸がロックオンした全てのプレイヤーに向かっていく。
《スキル》の調整によって一度に十発の弾が、である。
「あ〜〜すっきりしたぁ。後はプレイヤーを集めて置く空間でも作って待ちますか」
モシナの後ろでゲームさながらの死亡通知が出てくる中、それが9人であった事にモシナは気付かなかった。
次回、視点を替える予定です。