疑問
「なぁ、平山。」
「なんだい?突然改まって?」
「平山のおかげで俺に起きた状況は理解できた。だからさなんというか•••」
「はっきりしない子だねぇ」
「ほっとけ!•••まぁあれだ。平山の場合は一体どうなったんだ?」
俺はすごく曖昧な状態で聞いた。
そりゃ自分の劣等部分は何ですか?なんて直球じゃ聞きにくいだろう。
だからかなり遠回しに聞いたのだがもしかしたら意味分からないかもなぁ
「えっ、私?」
やっぱり分からないよな•••
「私は劣等部分なんて元々ないよ?」
「はっ?」
こいつはそんなとんでもないことを何の抵抗も無くサラッと言った。
「ちょっと待て! それじゃ今まで俺が話してた劣等部分ってのは何だったんだよ!?」
「それはあくまで能力の種類の話だよ」
「種類?ってことはなんか色々あるのか?」
俺がそう聞くと彼女は少しキリっとした顔をして言った。
「まぁ、私も詳しいことはまだよく分からないんだけど•••でもある程度のことなら分かるよ。あなたの場合は【等価交換】系統の能力だよ」
「等価交換•••?」
「そう、あなたは信じることを失ってその代わりにそれと同じ価値の何かを手に入れたはずなのよ」
そんなこと言われても俺には何のことだかさっぱり分からない
「そうねぇ、例えば勉強が出来るようになったみたいなこと言ってなかったっけ?」
うーん、やっぱりピンとこないぞ?
「まぁ、これから分かってくるよ。それより私の場合だったね•••」
「なんだよ、お前も何か失ったとかそういうのじゃねーのか?」
「•••君はテレビを良く見る人?」
「いや、見ねぇな。結構忙しいし」
「じゃあ、今日適当に見てみてよ。8時ぐらいにさ」
「えっ、何?テレビとかに出てる有名人なのお前?」
「見れば分かるって」
うーん、突然何を言っているか分からん。
というかそもそも能力の話をしてたのになんでテレビの話になったんだ?
すると彼女は神社の出口の方に歩き出した。
「お、おい? どこ行くんだよ? まだ話は終わってねーぞ?」
「明日もここに同じ時間にいるからさ。そしたら話そう。」
「別に今でもいいような•••」
「このあと予定があるのよ」
「あ、そう。 じゃあな」
「うん、バイバイ」
そう言って彼女は神社から出て行った。こうやって人と長話をしたのはいつ以来だったろうと思いながら時計を見ると1時間以上経っていた。
「うわっ、やべ•••帰らないと」
帰った頃にはすでに日は沈んでいた。
俺は言われた通り8時にテレビを見たが大して変わった番組や気づいたことなど何もなかった。