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平山彩子。
神社で出会ったその少女は俺と会って5分も経ってないのにも関わらず俺の悩み、要するにあの夢の事を知っていた。
あの夢の事はまだ誰にも話していない。
言ったって信じる人なんていないだろうしそもそも話せる人を失った俺には相談相手もいなかった。
だからあの夢の事を知っている奴はいない。
それなのにその事を知っている奴は自然と限られてくる。
あの夢の関係者•••もう少し詰めると黒幕側に近いはず。
だから俺はすごく単純の質問をすることにした。
「お前は何を知っている?」
ここで意味深な事を言ったら黒幕確定だ。
そして色々問い詰めてやると思っていたのだが•••
「ん?私もあの夢を見た。ただそれだけだよ。」
嘘か本当かは分からない。意外と策士な奴かもしれん。ここは慎重に会話をしないとな。
「にしたって夢の事に気づくのが早すぎるだろ。俺はそれらしき事なんて一言も言ってないぞ!」
「いやだって右手見れば一目瞭然じゃん。」
••••え?
言われたとおり右手を見てみる。
俺には右手首に生まれつきの痣がある。
そのせいか今まで気づかなかったのだが俺の右手首にはうっすらと印っぽいのがあった。
その印は目玉のように見えた。
「何だよこれ•••」
「印だよ。あの夢を見たものはそれで区別されるんだ。」
「それじゃあ、お前にも付いているのか?」と言ってその時俺は思い出した。
そういえばあいつ右手にブレスレットを付けてたな。何かを覆い隠すように。
「うん、そうだよ」とだけ言って彼女はブレスレットを外した。
俺には痣があり、ある程度隠れるが彼女の場合そうはいかないようでくっきりと印が付いていた。
「ところでそろそろ君の名前を教えてくれる?」
「えっ、俺の名前? 山田隆宏だよ。」
「ふーん。さしずめアダ名はヒロってとこかな?」
「残念。みんなからはタカって呼ばれてるんだ。」
「じゃあこれからヒロって呼ぶね。あと私の方も本命の質問をしたいのだけど。」
馴れ馴れしいなこいつと思ったが本命の質問がとても気になる。
「質問って何だ?」
「そうね。ちょっと難しいのかもしれないんだけどあなたが手に入れたもの、そして失ったものは何かを聞いていいかしら?」
手に入れたもの。失ったもの。
確かに難しく何を言っているのかさっぱりだ。しかし【失ったもの】に関して言えば分かる。俺が今まで悩みこの神社に行く事になったきっかけだからだ。
「それは•••一言で言うなら友達だ。」
「友達?それはいくらなんでも•••」
「正確には今まで普通に話せてた友達の事を突然信じられなくなったんだ。何か不快なものを感じるというか•••とにかく分かりずらいけどそんな感じなんだよ。」
「それは•••とても迷惑だよね。日常生活に支障をきたすとかのレベルじゃないよ。」
そう言うと彼女は少し考えたかと思うとこう聞いてきた。
「それじゃあ、あなたが手に入れたものはどれほど多大なものなの?」
「ちょっと待ってくれ! 手に入れたもの?悪いが少し話についていけない。ちゃんと説明してくれよ」
「おっと、ごめんね。あの夢には少し決まり事があってさ」
決まり事?何か明確なルールでもあるのだろうか。てことは俺はその決まり事に準じてこんな事になってしまったんだろうな。
「その決まり事っていうのはね。その人の劣等部分をカバーするような能力が付く事なんだ。」
いきなり話がぶっとんだぞ!?
能力?普通の日常をおくってきた俺が能力者バトルに巻き込まれるのかよっ!?
なーんて考えていると彼女はその事を見越したように
「能力って言ってもヒロが想像してるような野蛮なものじゃないよ〜」と笑いつつ言った。
なんだ、良かった。てっきり俺は厳しい修行とかがあるもんだと思っていたからな。うん、平和最高。
「そうだねー、ヒロの劣等部分はなんなのか。ヒロが手に入れた能力はなんなのか。私は色々知りたいよ。だから詳しくヒロの事を教えてほしいな?」
俺としても能力やら劣等部分やらあの夢の事やらを色々と知りたかった。
だから俺は彼女に、平山に俺には親友がいない事と何しても他人に勝てるものがない事を話す事にしたのである。
「なるほどね。劣等部分は他人より優れたものが無く親友がいないって事はつまり友好関係にしろ特技にしろ一定数値以上にはいかないって事だね。」
なんだか聞いてて情けなくなった。
「私がこの劣等部分に名前をつけてあげよう!ズバリ何をしても目立たないという事で【村人B】だっ!」
「いくらなんでも酷すぎるだろ!?」
分かった事はたくさんあったが平山がズケズケ言うタイプだということを今日1番実感した。
でも平山もあの夢を見たのならどんな劣等部分があって何を手に入れ何を失ったのだろうと。 俺はすごく気になった。
もう少し説明に時間がかかるかもしれません。
あと一応この女の子は元気っ娘タイプです