疑問
あの奇妙な夢を見てから1週間。
俺は毎日行っていた部活もずっとサボっていた。
あの日から俺の学校生活はガラリと変わり俗にいう陰キャになってしまった。
というのも全部俺のせいなんだが。
今まで通り話しかけてきてくれた友達に何故か不快になり邪険に扱うことしか出来ない。
一体俺が何をしたっていうんだよ•••
その1週間の間俺はまともに授業を受けていない。
それもそうだろう、こんな状況で勉強なんて出来るかって話だ。
人間関係も授業も部活も何も出来ないのなら学校なんて行く意味あるのだろうか。
でも授業のおかげでまたおかしな事に気づく事が出来た。
それは今まで以上に要領が良くなった•••と言えばいいのだろうか?
先生に問題をあてられた時、ろくに話を聞いていなかったのに関わらず自然と答える事が出来た。
俺は学校の成績が良くなく400人いるこの学年の順位はいつも300台だった。
そのレベルの奴らは授業の問題なんて答えられない事が多いのに話を聞いていなかったら解けるわけがない。
その点でおかしいと思ったのだ。
でも1週間で分かった事と言えばこれくらいで自分に何が起きたのかさっぱり見当もつかない状態だ。
今日も一人ぼっちの学校が終わり明日から学校を休もうかなと考えていた時にふと前に友達から聞いた話を思い出した。
たしか悩みなどがあった時に行くと効果がある神社が学校の帰り道にある•••というような話だ。
正直そういう類の話は信じない側なんだが今はそれに頼るしかない。
俺は決心してその神社に向かうことにした。
その神社は学校から駅までの通学路に少し離れたところにある。
離れたといっても5分ぐらいで着いてしまう近場なため他の生徒もたまに行く程度には人気があった。
幸運なことに今日その神社に行く生徒はいないらしく気軽に行くことが出来た。
1人でそんな神社に行くなんてとこ見られたら寂しい人だと思われちゃうしね。
神社に着くとすぐにお賽銭箱があった。
意外と小さい神社らしく5人ぐらいが集まったら賑やかになる程度の大きさだった。
5円玉を入れて目を閉じ願いを込めた。
願いというより疑問をぶつけたの方が正しいニュアンスだったりする。
これは何だ?
何が起きたんだ?
あの男は何者だ?
この現象はいつ収まるんだ?
などと考えしばらく時間がたったあと突然後ろから声がした。
「そんなに考えて、あなたの悩みって何かな?」
その馴れ馴れしい感覚にまさかと思いつつ振り向くと•••
予想外でそこにいたのは女の子だった。
少し考えた後
「別に関係ないだろ、俺の悩みを知らない人に言う必要はない」俺はそう言ったあとその女の子をよく見た。
まず目に付くのはピンクのパーカー。
フードを被っており顔は見えるが表情は少し隠れている。
右手には少し覆うようなブレスレットをつけている。
眼鏡を変えているらしくはっきり言って全体を見ると少し地味だ。
でも地味なのに何だろう、顔がとても整っておりその雰囲気からはワザと地味な格好してるようにも思える。
「女の子の身体をあまりジロジロ見ない方がいいよ。変質者だと思われるよ?」
その女子はニコリと笑いながら言った。
「なっ!?、話しかけたのはお前だろ!?」
「それとこれとは別物だよ」
とまた笑いながら言った。
「というかお前は一体何なんだ?突然話しかけてきて•••」そうだ、俺には重要な悩みがあるんだ。こんなところで油売ってる場合じゃない。
「んー?少しあなたのことが気になってね。何かにすがるように見えたから。」
鋭い奴だ。
何も分からない俺にはもう神頼みぐらいしか残っていなかったからな。
素直に言うのも癪なので
「いや、別に。友達と喧嘩したってだけだから。」と言っておいた。別に嘘はついていない。
「へー。てっきり私は変な夢見て大切な何かを失った人のように見えるけどね。」
えっ?今こいつなんて?
なんで知ってるんだ?もしかしてあの男のことを知っているのか?お前は何者だ?色んな疑問が出てきたが驚きで言葉が出なかった。
「その表情だと図星だよね。君ってすごく顔に出るよ。」と言われその時ようやく言葉が出た。
「お、お前は何者だ!?一体なんなんだよ!!」
「女の子にお前って•••。まぁ、確かに名乗ってなかったね。」
「私の名前は、た••平山彩子だよっ」
彼女はとても素敵な笑顔でそう答えた。