現実からの逃避
高校生なら1度は感じたことがあるであろう言葉。
劣等感。
この言葉は今の俺にはしっくり合うと思う。昔からそうだった。
俺が何か1つのことで他人より優れたものなど1つもなかった。
ピアノを5年していても俺より上手い人なんてクラスに3人以上はいたし。
どんなに必死で勉強しても1番どころか上位に入ったことすらない。
そんなこんなで色々な習い事をしていたがどれもこれも失敗ばかりに終わった。
1%の才能と99%の努力という言葉があるがその才能もなければ努力もしないような奴に何かを成し得るなんてことは決してない。
もしも俺に1%の才能でもあったらもう少し努力をしたのだろうか•••
ここで机の上のスマートフォンが鳴った。
思考の世界から一気に現実に戻られた俺はケータイをとり内容を確認した。
•••なんてことのない同級生のLINEであった。
そのLINEも適当に返し明日の学校の準備をしてその日はそのままベッドで寝てしまった。
朝起きるとなんだか不思議な感覚だった。
夢を見ていた気がする•••というか何1つ覚えていなかった。
まぁよくあることだと別に何も気にせず朝食を食べ身支度をして学校に行くことにした。
•••もし俺がラノベの主人公ならば親が居ない独り暮らしだとか超可愛いけど生意気な妹がいたりするものだが残念。
両親と俺の3人家族。
つまり一人っ子だ。
でもこれも普通のことだと思う。
普通のことだからこそ俺はため息が出てしまうのだ。
もし生まれ変わるのならば•••もっと刺激的で普通じゃない生活をしてみたい•••
などとまるで異世界に飛ばされる前のニートみたいなことを考えても無駄だということを分かりながらも現実逃避してしまう自分を本当に情けない奴だと感じた。