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プロローグ、告白ができない。

学校へと続く桜の花が舞う並木道、少し上り坂になっていて、行く先には校門が待っている。

3月16日、まだ春休みのこの時期にここに用があるのは、きっと学校の教師と部活の生徒だけであろう。

しかし残念ながら俺は部活には所属しておらず、この鳳高等学校の帰宅部生徒だ。

理由も無くここに向かっている訳ではない、今日これから俺は告白をしに行くのだ。

髪型は崩れていないか、服装は変じゃないか、何より相手は来てくれているだろうか。

緊張と不安で頭の中がいっぱいになる。

喉が渇き、手には汗が出る。何もかもが怖い。でもこの思いが叶ってくれたならば晴れて俺はリア充と呼ばれる存在になると思うと、足が約束の場所へと運ばれて行く。


ちらっ校門を見ると、近くに誰かが1人いた。


透き通るような白いワンピースに鮮やかなフリル、小さいバッグを肩から掛け、その長い黒髪が春風に舞う。

見間違える事など無かった、待っていて欲しかった相手がそこにいた。

見つけた途端に足が軽やかになり、彼女の元へと駆けていく。


「お待たせっ……待ったかな?」


全然?とお決まりな返しがやってきてリアクションに戸惑う。


「ごめんね、こっちから誘ったのに。わざわざ来てくれてありがとう。」


相手は無言でスマホを弄る、遅刻した事を怒っているのだろうと思った。


「担当直入に伝えます、貴女の事がーーー」

「あ、もしもし?沙耶でーす。」


えっ?


「今狭間くんといるんだけどー、これからカラオケとかどうー?そうそう3人でー!場所はいつもの駅隣のジバックスでいいー?」


い、今起きた事をありのまま話すと……


俺は告白をしようとした、彼女が電話を始めた、唐突にカラオケに行こうと誰かを誘い出した。今ここ。


「あ、あのー…… 」

「よし、じゃあ決定!狭間くん歩きだよね?駅まで今から歩きましょう!」


あのー。


唐突な謎展開!!


心でそう叫び、着いた先のカラオケで大好きなアニソンを絶叫し、何事も無かったかの様に解散。

じゃあねと言って別れ、1人で帰路に着く頃に思った。


「告白ができないっ!!」


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