戻れないから生きる
北の大地で、仲間と好きな事やってすごす日々…。
夜な夜な、ネオンを求めては睡眠不足でクラブ通い。
仕事は、それなりに~何ていわゆるどこにでもいる若者だ。
男もそれなり…。
ワンナイトラブ!?つうの何て、一ぴき暮らしのアタシは、関係なかった。
そうそう!
離婚したのよ!離婚!
自由だぁ~☆
………。
結婚生活7年。
終止符を打った。
この7年。
あっという間…。
ある意味ね…。
高校生くらいの時から、お嫁さんになってお母さんになるのが夢だった私は、進学しないで、社会人になった。
その方が、早く結婚できるって思ったから。
その夢は、意外と早く叶った。
きれいなウエディングドレス着て、沢山の人に祝福され、幸せだった。
一年くらいは、新婚を楽しもうって、二人の新婚生活を楽しんだ。
月日が経つうちに、友人達も結婚、出産と気づけば周りは、子育てで忙しい日々を送っていた。
私達も、子供を考える様になっていった。
いっぱい、楽しい想像した。
家族が増えるって、どんな感じ?
我が子って、可愛いんだろうな…。
歳の離れた妹がいる私は、何故か子育てに自信があったのだ。
一年、二年…。
授からない。
三年目!
ついに、妊娠検査薬に反応出た!
嬉しくて嬉しくて、すぐ産婦人科へ。
小さな命が、宿っていると思うと、とても暖かい気持ちになった。
初めて、母性本能ってのを味わった気がした。
でも、すぐに出血が始まり…。
流産だった。
お腹に激痛、トイレに駆け込みそのまま…。
初めての妊娠は、とても悲しい結果になってしまった。
その後も、流産を繰り返した。
友人や家族には新しい命がどんどん産まれ、私達だけ子供のいない夫婦だった。
そんな、ある日…。
友人にお祭りに誘われ、めんどくさいと思いつつ…渋々行った。
街は賑やか…。
赤ちゃんがやたらと目につく。
友人は、そんな私に優しくしてくれた。
ありがたい。
後日、身体の異変に気付く。
風邪かな?
念のため、病院行く前に残っていた妊娠検査薬やってみた。
期待ゼロでね(笑)
うっそん!!!
バッチリ反応!!!
出たぁああ~!
検査薬握りしめ、病院へGo☆
ベビちゃん、しっかりエコーに写ってました。
涙が自然とこぼれた。
小さい、まだ何も形になっていないベビちゃんは、あたしのお腹にしっかり宿ってくれていた。
経過も順調!!
つわりもなく、マタニティライフを穏やかに過ごす。
こんな幸せ…
命の力ってすごいなぁ~。
日々、大きくなるお腹。
何だか、母性と守る気持ちが毎日膨らんでいった。
安定気の頃には、性別もわかり男子だって!
うふふ~!
男の子かぁ~。
妊娠6ヶ月、おばあちゃんのお祝いで親族みんなで、温泉に行った。
妊婦姿お披露目~☆
ニヤリ(^o^)v
久々の、温泉も料理もとっても癒された。
おばあちゃん、長生きしてね!
ひ孫、いっぱい抱いてね。
異変が起きたのは、そてから1週間後。
10月1日
夜、お腹に鈍い感覚…。
夜、活発に感じる胎動が感じない。
焦って、お腹をポンポンしてベビちゃんに話しかけた。
何かがおかしい。
トイレ…。
透明な液体が出てきた。
普通じゃない。
病院にすぐ、電話した。
すぐに見てほしいと、何度も何度も言った。
でも、看護婦は明日来てください。
眠れないまま。
10月2日
朝いちで病院。
お腹も少し痛い、自分の身体が変。
診察室に震えながら入った。
「絶対大丈夫よ、ママが守ってあげるからね。大丈夫。大丈夫。」
沈黙が続いた。
いい結果じゃなさそうだ。
でも、絶対産むって…。
どんな状況でも、あたしは産むって…。
でもね…。
エコーの心音がね、聞こえないの。
エコーの中の赤ちゃんね、小さく丸まってたの。
先生は、大きな病院を紹介するからって、このままじゃ、あなたの命も危ないって…。
どうでもよかった。
自分はどうなっても…。
だってだって、守れなかったんでしょ!?
やっとやっと、授かったんだよ。
お腹も大きくなってるんだよ。
栄養だってちゃんと……。
気が狂いそうだった。
頭が真っ白って、こうゆう事言うんだね。
お母さんに電話して、状況報告した。
飛んできた。
思わず、母に抱きつき大声で泣いた。
母は、なにも言わず私の頭をなで…
「お母さんは、あんたの身体が心配だよ!とにかく病院行くよ!」って。
大きな病院には、妊婦さんがいっぱいた。
みんな、お腹の中で赤ちゃん生きてるんだろうなって思ったら、その場にいれなかった。
でも、自分の身体と意識がどんどんおかしくなっていく。
このまま、死んじゃうのかな私…。
赤ちゃんはね、もう大きく育っているから出産って形をとりますって。
不思議な事に陣痛も始まって…。
それでも、産まれるには時間がかかるからって、あたし以外の家族はみんな帰された。
一人の闘いだ。
陣痛は進む…。
お母さん、こうやってあたしを産んでくれたんだ。色んな思いが頭を過った。
陣痛も限界に達し、何とかナースコールを押せた。
助産婦さんが慌てた。
待って!待って!
バタバタと周りが騒がしくなる。
あたしの心も破裂寸前だった。
産んでしまえば、この子とさよならって事でしょ?
やだよ……。
やだよ……。
離れたくない!!!
でも、待ってくれない。
分娩台に、連れてかれそのまま出産。
あっという間。
産声のない赤ちゃん。
もしかしたら、まだ心臓動いてないかな?
「お願いします!どんな状況でも助けて下さい」あたしは、分娩台からおきあがって叫んだ。
看護婦さんに、動かないで下さいって押さえ付けられた。
全てが終わった。
10月2日 午後10:56 300グラム 23センチ
天使になった。
翌日、対面を強く希望し会わせてもらう事に。ちゃんと、抱いてあげたかったから…。
ママとして、最後にできる事だから…。
真っ白な布に包まれた我が子は、とても小さかった。
小さな親指をくわえた仕草で亡くなっていた。少し、微笑んでる様にも見えた。
大切な我が子。
かわいい男の子。
サヨウナラ…。
間もなく、埋葬業者が病室に来て死亡届けと赤ちゃんを連れて行った。
本当のお別れだ。
あっけなさすぎる。
その夜、病室のベッドで泣き続けた。
産んだのに、ベットにはあたし一人。
周りは、産まれたての我が子と過ごしている。あたしだけ、カーテン閉めきって声を押し殺して泣いている。
ごめんね。
ママ、あなたを守れなかった。
苦しくなかった?
寒くない?
お腹すいてない?
どうして、こんな事が…。
何故、あたしは生き残ったの?
目に飛び込んできたのは、薬だった。
ママも、逝くから待ってってね…。
これでいいんだ。
逝って抱きしめたい。
ただ、それだけ…。
どれくらい時間がたったんだろう。
目が冷めた。
自殺は失敗したようだ。
ふと気付くと、個室…。
そして、手が暖かい。
看護婦さんだ。
泣いている……。
あの…。
スミマセン…。
「辛かったわね…。すこしは落ち着いた?」
余計な事は、一切触れてこなかった。
その優しさと手の温もりは今でも忘れない。
ドクターの気遣いで、早目に退院させてもらった。
女性は出産すると、おっぱいが出る。
身体の機能はすごい。
しばらく実家にいる事にした。
あげる子がいなくても、三時間おきにおっぱいは出る。
それを絞り、捨てる。
母は、何とも言えない顔でその姿を見ていた。ずいぶん、心配かけたと思う。
家族に心配かけたくないあたしは、我が家に戻った。
49日までと、決めて毎日ミルクをお供えした。
毎日毎日、泣いている。
だって、止まらないんだもん。
前を向いて進む事何て、今の自分には考えられない。
バイトもした。
気持ちは変わらない。
辛くなる日々…。
あたしみたいな人、どれだけいるんだろう。
一年が過ぎた頃、子供の再チャレンジをしてみようと思った。
諦めるには、早すぎるし希望が欲しかったから…。
授かった。
嘘みたい…。
嬉しかった。
今度こそ……。
今度こそ……。
病院。
エコーに赤ちゃん写りませんね…。
まだ早いのかな?
次週また来てください。
でも、妊娠はしていますよ!
その言葉に安心して、次回を楽しみに過ごしていた。
検診日。
あれ、まだ写らないですね…。
えっ?
その頃から、右下っ腹に違和感があった。
でも、マイナスな事は、考えたくなかった。
今度こそ、この命守るんだから!
強い意思があった。
でも、神様はどうしてこんな意地悪するんだろう。
その日、スーパーに言ってた私。
玄関開けて、買い物袋を置いた瞬間。
お腹に激痛が走り、動けなくなった。
普通じゃない。
右足もしびれ、記憶が遠くなっていく…。
総合病院へ。
「子宮外妊娠です。」
何も言えない。
もう、これ以上苦しみたくない。
どうしてあたしなの?
何かした?
十分、苦しんだよ…。
この子だって、産まれる為にきてくれたんだよ…。
正直な気持ちだ。
でも、どうする事もできない。
そんな自分に、悔しさがこみ上げてくる。
旦那も、流産、死産、子宮外妊娠と続くと何だか反応も普通じゃない。
周りの反応が変わっていく。
そうゆうのには、敏感だ。
翌日、手術。
また、サヨウナラ…だ。
お腹の中で、大量出血していた私は麻酔の目覚めも悪く、呼吸も追い付かなくなり…
目が覚めた時には、家族が私を囲んで泣いているので、てっきり自分は死んでしまったのかと、勘違いした。
ちゃっかり、ここでも生きてました。
人間、やっぱり寿命ってあってさ、意外に強い生き物だったりするよ…。
そう簡単には、死ねません!!
経過もよく、順調に退院したが…
この頃から、歯車が狂ってきた。
子供のショックを抱えているのは、旦那も一緒だと思ってた。
二人で、頑張って乗り越えようって、思ってくれてると…。
友人達も、常に落ちてる私はめんどくさい様だ。旦那の親もね…。
周りが冷たく感じる様になった。
心ない言葉もいっぱい聞いた。
そんなもん?
人が死んだのに?
あたしは、自分の辛さや体験を何とか周りに、理解してもらいたかったのかもしれない。
自分じゃ、抱えきれないから…。
人間って、経験しないと何も気づかないんだね。
子供失って、悲しくて辛くてどうしょうもないけど、我が子が残していったものがたくさんある。
母親の気持ち
家族の有り難さ
命の奇跡
命の大切さ
数えきれないかもね…。
子供失って、8年経つけど…未だにあの子が教えてくれてるんだなって事、たくさんある。無駄な事って、本当何もないのかもね。
旦那とは、その後離婚。
やっぱり、子供の事と考え方の違い。
色々と、傷つきましたぁ!!!
嫌みのオンパレードも聞き飽きたぁ!!!
って、明るく言ってみたけど…。
相当、メンタルやられまして…。
離婚時、体重35キロ。
うつ病
パニック障害
人間不信
男性恐怖症
過敏症
いやいや…。
それくらい、あたしにとってあの命は重いんです。
立ち直るとか、前を向くとか簡単にはいきません。
簡単にいくほど、命は軽くないんです。
それから、人は誰しも悩みや過去があります。人と比べるのは、無理です。
その人に起こった出来事は、他人は経験できません。人によっては、些細な事も本人はとても苦しい問題だったりします。
また、それを人に理解してもらうのは、もっと難しいです。
結局、自分なんです。
きっと、何かしらきっかけや出会いがあって時間をかけて、向き合うしかないんだと思います。
離婚後、数年間一人黙々と働き、半分人生捨て気味で、適当に生活していました。
一人なら、悲しい時泣けるし引きこもっても誰にも文句言われないし…。
精神科受診しながら、一ぴき暮らし堪能!!
でも、人間寂しくなるもんですね…。
自分に、自信がないのと男を信用できなくなった私は、変な男にひっかかり…。
自分が変わらないと、周りも変わらないとやっと気付くき…。
全て、ゼロスタートに!!
そうして、過ごして二年くらい経ったある日。出張先の関東で出会いがありました。
まぁ、今の旦那さんです。
彼には、全てを話しました。
ダメもとで…。
なんと言う変わり者でしょう。
あたしの事、受け入れたんです。
しかも、2ヶ月後はるばる、関東から北の大地に挨拶しにきたんです!
まさかの展開でした。
出会って、3ヶ月で私はマンションを引き払い、関東に来てしまいました(笑)
捨てられたら、すぐに帰れない場所に来てしまい、日々捨てられないようにいい子ちゃんしていましたら、無事にプロポーズを受けゴールインです。
環境の違いや、馴れない土地での生活はストレスにもなり、メンタルも回復したわけではないです。
改めて、受診した結果。
PTSDと診断されました。
要するにトラウマです。
子供を亡くしたショックはもちろんですが、そこではありません。
その後、周りの反応や言葉です。
もっと、辛い人がいる。
悩んでも仕方ない。
落ち込み過ぎ。
もう、終わった事なんだから。
忘れた方がいいよ。
どの辺が辛いの?
前向きなよ。
自分の中で、流せなくなった人の行動や言葉がたくさんあり、忘れません。
自分なりに、ここまでくるのに努力もしています。
それが、伝わらないのが現実です。
だから、自分との闘いなんです。
弱音を吐く事は、とても大事だと思います。
それが、人間だと思います。
前向きにいいこと並べても、消えない事だってあります。
自分に、言い聞かせるのはとても良いと思いますが、他人に言われても悲観的になるだけです。
こうした問題を、抱えてる人は数えきれないくらいいるでしょう。
抱えてる人間は、それくらいわかってるんです。
メンタルって、きりがないかもしれませんね。
でも、過去には戻れない。
今、生きている以上一分一秒前にちゃんと進んでいるんです。
素晴らしい事だと思いませんか?
やる気なし、無気力。
布団から出れない。
良いと思います。
休憩時間なんだと思います。
気持ちが乗った時だけ、動けばいいと思います。
我慢が一番身体やメンタルによくない事、実感してきました。
自分は、何もできないこの先もない。
死にたい。
当然です。
でも、残念ながら寿命が与えられてるので、生きた方がいいです!
どんなに、つまづいても苦しくても意味があるから、ここにいます。
そうでなければ、あたしも死んでます。
みんな、お母さんから産まれました。
みんな、愛されています。
一人じゃない。
あたしは、孤独や悲しみの中でそれを学びました。
一時は、世の中の人間が全部敵の様に見え、道ですれ違う人が楽しそうにしているだけで、イライラしたりしていました。
現在は、波があるものの長い歳月かかったせいか、考え方や理解の仕方が変わってきました。
これも、勇気を出して無理矢理外に出て近所のおばさんだったり、人との出会いで変化してきた感じです。
出れない時は、とことん出ません。
無理が一番ダメなのでね!
消去法で、好きな事だけできることだけやれば良いんです(*^^*)
過去に戻って、やり直すよりも戻れないなら、今生きてる自分を誉めて生きた方がきっと、楽しいです。
無駄な人生もなけりゃ。
無駄な人もいない。
無理矢理生きるんじゃなく、それぞれの個性こそが素敵な人生だと思います。
みんな、大事。
みんな、同じ。
現在、PTSDの治療のため妊娠もドクターストップ状態。
でも、諦める事はせずいつか授かる日がくる事を目標に、病とも付き合っています。
同じ境遇の方、ゆっくりゆっくり。
進みましょう。