Another Daily 〜Get ready for future〜 02
共通の話題には持っていそうにない。どうしよう。表面上はポーカーフェイス、内心は冷や汗がどっと吹き出てる。今の俺の状態はそんなところだ。
その時、
「ただいま〜」
矢部先輩が帰って来てくれたらしい。ナイスタイミング!
数分後、俺とメールアドレスを交換して、若菜さんは部屋を去って行った。入れ替わりに矢部先輩が部屋に入ってくる。その手に持っているのは、大きなトランク。
「先輩、そのトランクって……」
「うん、道具とか銃とか」
銃といってもエアガンである。念のため。先輩はそのトランクを床に下ろし、自分も床に置いたクッションの上に座り込む。「えっと、オーダーしてきたのは、『汎用性の拡張』と『威力の強化』だったよにゃー?」
「はい」
トランクを開け、中をごそごそと弄りながら矢部先輩が確認してくる。
「と、とっとと……。うん、取り敢えず、まずどのぐらいの射撃能力か見てみたいから、外出て撃ってみようか」
トランクを一度閉じ、矢部先輩が言う。頷き、俺も立ち上がる。
「あ、そのトランク、俺が持ちますよ」
そう言って、トランクを手にする。うーん、俺にとってはそれほど重くもないが、女子である先輩には大変だろう。
「ありがと~」
そう言って手をひらひらと振りながら、先輩は先に立って歩き出す。それに付いていく俺。
そして。
「ここよ」
案内された場所は、裏手にある空き地だった。空き地の形は長方形、そして矢部先輩は無造作に積んであるコンクリートブロックの上に空き缶を並べていく。
「はい暦クン、そこから五歩前に歩いて~」
言われた通り歩いてみる。
「うんうん、いい感じ。じゃあ、そこからこれでこの空き缶撃ってみて~」
言いながら、拳銃を手渡してくる。
「……これは?」
「それはベレッタM92F。米軍でもM9として正式採用されている優秀な拳銃よ。」
「なるほど」
個人的には緋弾〇アリアのベレッタ・キンジカスタムのベース機としてのイメージのほうが分かりやすい。
「んじゃ、やってみようか?」
「了解です」
両足を肩幅に開き、両手をまっすぐに伸ばし、ベレッタを構える。
「……目標を狙い撃つ!」
やっぱり、銃撃つときの掛け声といえばこれだろう。
素早くすべての的の位置を確認し、一息に連射して全弾命中させる。
「…おー、やるねぇ。まさかいきなり全弾命中とは、おねーさんビックリだよ」
感心したように矢部先輩が言う。良い意味で期待を裏切ることが出来たらしい。
「じゃあ、次はこれ使ってみて」
そう言って矢部先輩が差し出して来たのは、アサルトライフルだった。