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魔力が多すぎて親に愛されなかった子が親の気を引きたくて自殺してしまった体に入れられてしまった。  作者: 瀬崎遊


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09

 両親の事はよくわからない。学園に入るまで名前すら知らなかったくらい両親のことを知らない。


 侯爵家だということは知っている。


 それもかなり力のある侯爵家。


 ナンシーが何をしても黙らせることができるほど力も金も持っている。


 だからナンシーのやったことの色々はもみ消されている。


 けれど人の口に戸は立てられないし悪事千里を走るで噂を消すことはできない。


 揉み消せばもみ消すほどに噂は大きくなっていっているのかもしれなかった。


 いや、ナンシーのやってることは本当に酷いけどね。





 ナンシーは、両親に対して意図して傷つけたことはない。


 というか、傷つけられるほど対面したことがない。


 母親なんてもう顔すら思い出せないほどに接触がない。


 神様と話しして分かったのは、ナンシーは生まれた時から魔法が強くてお乳を欲しがって泣くと感情のままに周りに魔法を放って部屋の中を破壊していたのだとか。


 この辺はナンシー自身に記憶はないし、罪もないと私は思う。


 赤ん坊なんだから仕方ないよ。


 で、それで心折れちゃった両親はナンシーに近寄らなくなってしまった。


 怯えている両親の気持ちもわかるけど、親ならもうちょっとなんとか出来ないものかな?


 私が体験したことじゃないからそう言えるだけ?


 この子、ナンシーは本当に可哀想だわ。


 欲しくもない魔法の力が強すぎたばかりに両親に愛されなかった。


 それでも愛されたくて構ってほしくてやることなすことすべてが裏目に出てしまっている。




 母親の怯え方は尋常じゃなかった。


 この間は殺さないでって言ってたし。


 赤ん坊の頃、嫌でもお乳を与えるのに抱き上げなくちゃいけないのに母親の周りの物はどんどん破壊されていく。


 けれど、人には危害を加えていなかったって神様が言ってたんだけど⋯⋯。



 初めは泣かさないように二十四時間張り付いてオギャーと言う前に乳を与えて頑張っていた母親。


 乳母を二人雇い、三交代で頑張ったようだ。


 一ヶ月が経ち二ヶ月目には母親は乳母をもう一人雇ってナンシーに関わらなくなってしまった。



 ナンシーは離乳の頃になると誰も抱き上げてくれなくなっていた。


 離乳食が気に入らないと食器を魔法で投げつける。


 手で投げるなら防ぎようもあったのだろうけど魔法ではいつ飛んで来るか分からず、周りの者は対応できなかった。


 本当に幼い頃から今までずっと食事風景は薄ら寒いものだった。


 乳母もメイドもお腹が空けば食べるだろうと何も置かれていない部屋に床に木製の器に入った冷めた離乳食が置かれ、一人きりで食べていた。


 その頃からミザリーはナンシーの世話をしていた。


 ミザリーもかなり怖い思いはしているのだろうけど側に居てくれた。


 ナンシーも気に入らないことがあってもミザリーにだけは何もせず我慢していた。


 使用人とはいえナンシーを気にかけてくれるのはミザリーだけだったから。

 


 ナンシーの記憶を覗くと誰からも愛情を与えられていない⋯⋯。


 両親の被害者面にはちょっと腹が立つけど、他人の私が何を言ってももう仕方ない。


 ナンシーはもういないのだから。







 ミザリーが食事を部屋に持ってきた時に聞いた。


「わたくしの基本的なマナーって出来ているのかしら?」


「はい。問題なくできていらっしゃいますよ」

 

「この国では食事は各自部屋で食べるのが当たり前なの?」


「いいえ⋯⋯。家族と一緒に頂くものです」


「では明日から両親と一緒にダイニングでいただきたいわ」


「⋯⋯お伝えしてみますが⋯⋯⋯⋯」


「解っているわ。お願いしてみてちょうだい」


「かしこまりました」


 

 翌朝、食事の時間ですと食事を持ってきた。


「両親は一緒に食べないと?」


「いえ⋯⋯。考えさせてくれと仰っていました」


「そう」


 私はそれ以上何も言わず朝食に手を付けた。


 食べ終わった後はワゴンに載せ廊下に出しておくといつの間にか無くなっている。


 冷めて渋くなった紅茶を自分でカップに注ぐ。


 食事に誘っても駄目か〜。


 どう接触したものか⋯⋯。


 取り敢えず、一緒に食事を頂きたいですとカードを昼ごはんを持ってきたミザリーに渡した。


 毎日カードを渡して10日ほど経った朝、ミザリーが「旦那様がご一緒に昼食を」と呼びに来た。


「ありがとう」


 と私は満面の笑顔で応えた。

来週の月曜日 21:20 お会いいたしましょう。

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