表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力が多すぎて親に愛されなかった子が親の気を引きたくて自殺してしまった体に入れられてしまった。  作者: 瀬崎遊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/10

04

 パチリと音が鳴る程はっきりと目を開いた。


 見えるのはやはりナンシーのベッドの天蓋でちょっとだけがっかりしたような嬉しいような複雑な気持ちだった。




 やはりと言えばいいのか、部屋の中には誰も居なかった。


 仕方ないよね〜。


 ナンシーの今までしてきたことを考えたら誰にも心配されなくても当然だわ。


 けど、普通なら一週間も目覚めなかったら心配するもんじゃない?


 心配しなくてもいつ死ぬかと気になるものだと思うんだけど。


 親とかメイドとか側に居るものじゃない?


 本当にナンシーの親って最低だわ。



 一週間掛けて要所要所の記憶見たけど、ナンシーは恐れられている挙げ句に嫌悪されているのね。


 まぁ、そこはナンシーが悪いんだけど。


 それでも親子でしょうに。親が心配しないなんて。


 ナンシーの自業自得と言えなくもないけど、私が可哀想だわ⋯⋯。


 どう考えてもここでやり直せる気がしない。


 でもナンシーが悪かったのか、親が悪かったのか。


 私は親に一票ね。



 なにはともあれ誰か来てくれないかな? 


 このまま暫く待ってみようかな? 今までも十分待ったような気がするけどね!




 それからすっごい待ったけど誰も来なかった。




 本当に私が可哀想すぎる⋯⋯。


 喉乾いたし、トイレにも行きたいし、シャワーも浴びたい。


 私眠っている間おねしょしなかったのかしら?


 心配になってお動きにくい体を必死で動かしてお尻の辺りを探ってみたけど、ホッ。大丈夫なようね。


 大人の尊厳だけは守られたよ。





 待っていても誰も来てくれそうにないので、サイドテーブルのベルに手をのばす。


 うっ? 体が思うように動かない⋯⋯。


 ベッドから落ちたら洒落にならないよ〜。


 あぁ〜⋯⋯。一週間も寝てたから? 体が動かない⋯⋯。


 頑張って手を伸ばしてベルを掴みガンゴン、ガンゴンという勢いでベルを振る。


 音はチリンチリンと鳴っているけど。


 扉の向こうが慌ただしくなる気配はするのに誰も入ってこない。


 慌ただしかった気配も無くなって静かになる。


 もう一度ベルを振る。


 動かない体でベル振るのも大変なんだけどっ?!


 いい加減誰か来なさいよっ!!



 けどこの体ちょっとやわ(・・)すぎないかな?


 ベルを鳴らして暫く待つ。


 ってことを10回位やってやっと扉の直ぐ側に人の気配を感じた。


 シーンと静まった扉がゆっくり10cm程開く。


 覗くのはちょっと太った男の人で、記憶の限りナンシーの父親だと思う。


「な、ナンシー⋯⋯目が覚めてしまったのかい?」


 ああ。やっぱり父親ね。記憶どおりでよかった。


 あの神様のことだから違う人の記憶入れられてるかもとドキドキしてたんだよね。


 父親は本当に恐る恐る顔の半分だけを覗かせて体は扉に隠していて室内には入ってこない。


 おい父親!! 今うっかり聞き逃すところだったけど!!


 目が覚めてしまったってどういうこと?


 永眠していてほしかったってことですか?


 怒りをぐっと押さえて、喫緊(きっきん)の要件を先に済ませたい。


「ええ。目が覚めました。レストルームに行きたいですし、喉が渇きました。体が動かないので誰か呼んで下さい」



 父親の背後でざわめきが起こる。


 うん? 何?


「な、ナンシー!! 魔力を押さえてくれないかな? 怖いよ」


 ん? ちょっとした苛立ちで魔力が漏れていたみたい。


「失礼しました。これで大丈夫ですか? ちょっと急いでいただきたいのですが」


「わ、分かった。今からミザリーを入れるからな」


「もう一人お願いできますか? 本当に体が動かないのです」


「わ、分かった」


 ミザリーと押し合いへし合いしながら見たことのないメイドが入ってくる。


「レストルームに連れて行ってくれるかしら」


「かしこまりました」


 トイレが終わってベッドに戻ってから喉を潤す。

 

 食事もお願いしておく。




 父親は扉の外で、部屋の中には入ってこようとしない。


 記憶以上に家族との隔絶があって何をどうしたらいいのかわからない。


 記憶を見るのと体感するのとでは大違いだわ。


 ナンシー、辛かったんだろうな〜。


「お父様」


「ひゃっ!!」


 呼びかけただけで叫び声上げるほどなの?!


「あの⋯⋯。わたくしどうしたのかしら? 体が思うように動かないのですが」


 父親が恐る恐る扉の向こうで喋る。


「一週間、目が覚めなかったんだよ」


「え? 一週間もですか?」


 白々しく見えないかちょっと心配。


 晴夏! 私は女優よ!! と自分に言い聞かせる。


「お医者様にも教会にも来ていただいたんだけど、何をしても目が覚めなくて⋯⋯。

 力を尽くしたんだが申し訳ない」


 目覚めないようにした。ではないですよね?


 あれ? 怖いこと思いついちゃった。


 実はナンシーが自殺したことを知ってて知らぬふりしてたりしないよね?



「いえ、お気遣いいただいてありがとうございます」


 父親の後ろで「えっ?!」って声がして皆が口を手で塞いだのが察せられた。


 その中には「お嬢様がお礼を言うなんてありえない」とか言ってるのが聞こえてるんですけど⋯⋯?!


 神様、なんとかしてっ!


 ⋯⋯⋯⋯⋯返事ないしっ!


 神様の役立たず!!

次話 2月9日 21:20 UP予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ