03
『あっ! そうそう。
机の上の紙は遺書なので処分した方が良いと思いますよ?』
遺書っ!! 遺書なの?!
この紙!!
えっと処分って、どう処分すればいいんでしょうかね?
本か何かの間に挟むだけでいいんですかね?
『そうですね。ゴミ箱の上で火や炎を想像してもらって、ファイヤーとか炎!! なんて単語を言葉にしてもらったら炎が出ますから、燃やしてしまうのが良いのではないかと思います』
も、も、もしかして?! この世界って!!
魔法のある世界ってやつですかっ?!
『そうです。魔法がある世界なんですよ!!』
もう言葉にならないほど狂喜乱舞をしてしまいました。
ちょっと疲れたので小休止させてください。
あのぉ⋯⋯、炎を部屋の中で使うなんて火事になったりしません?
『皆川さんが想像した通りに魔法が使えると思いますよ。なので小さな火を思い浮かべれば小さな火が。
この屋敷を燃やしたいなら燃やすだけの炎も出せると思いますよ。
ナンシーの体で皆川さんの精神なら』
なんか怖いことを言われた気がしますが、す、素晴らしいですね!! 魔法。夢の世界ってヤツですね。
あ、そうだ。火事の件は?
『魔法は想像力です。思えば思ったように使えますよ。なので心配せずその紙が燃え上がる想像をしてください。
手の上で燃やしても大丈夫ですよ』
火傷しませんかね?
『大丈夫です』
とりあえず試しに炎を出してみようかな。
「炎!!」
ホントに出たよ。炎!
私、大興奮っ!!
さっきから感情が振り切れちゃってて、しんどい。
でも、この子の遺書、燃やしちゃっていいんですか?
親に渡した方がいいんじゃ⋯⋯?
『渡したら皆川さんが困ることになると思いますけどいいんですか?』
よくないですね。
けど燃やすのはちょっと⋯⋯。
一応残しておくことにします。
何を思って自殺なんてしようと思ったのかも知りたいし⋯⋯。
『そう。⋯⋯では、クローゼットの右上部を押し上げてみてください』
クローゼット?!
『あーそっちじゃなくてその奥もクローゼットなので』
奥? まだドレス持ってるの?
うわぁ⋯⋯⋯⋯。すごい衣装の数⋯⋯。
二ヶ月毎日違うドレスを着られるよ。
でも私、綿100%じゃないとかぶれるんだけど⋯⋯。
あっ、この子の体なら関係ないか。
右側の天井を押し上げてみる。
あぁ、羽目板がズレるのね。
紙一枚だと飛んでいったりなんてことがあるかもしれないから、取り敢えず本にでも挟んで置いておこう。
目についた分厚い本に挟んでクロゼットの天井部へ置いた。
羽目板を戻し、ベッドの上で横になる。
おまたせしました。記憶の方、よろしくおねがいします。
『では、行きますよ』
怒涛のように押し寄せてくるナンシーの記憶と知識⋯⋯。
十五歳から逆行して記憶が入ってくる。
うわぁ〜 この子可愛いけどいい性格してるわぁ〜。
自殺するような女じゃ無い気がするんだけど⋯⋯。
あぁ〜あ!!
気を引くつもりでやったらほんとに死んじゃった系かぁ〜!!
あの〜神様、私この子嫌です。チェンジでっ!
『流石にそれは無理です』
でもこの子酷いですよ〜
婚約破棄どころか、数十人に滅多刺しされても文句言えないと思うんですけど⋯⋯。
『そ、そう、そうですね〜 ⋯⋯あはははっ! 私も体を生かしたもののあまりの酷さにビックリです』
お願いだからチェンジでっ!
『無理だと宣言しておきましょう』
酷い⋯⋯。
では、お願いがあります。
一週間ほど目覚めないようにしてもらえます?
『目が覚めたらいい人になるの?』
いい人かどうかは分かりませんが人生やり直すきっかけにはなるのではないかと。
『そう。それくらいなら力を貸すわ』
目が覚めなくても考える力は残しておいてもらえます?
色々考えないとだし、記憶もちゃんと見ないと。
『いいでしょう。今から体は仮死状態にしてしまいましょう』
よろしくお願いします。
次話 2月2日 21:20 UP予定です。




