Episode 1
僕は空を見上げるのが好きだった。
昼休みの校舎裏、誰も来ない静かな場所で僕は一人、空をぼんやりと見つめていた。
広がる青い空は、僕にとって唯一の逃げ場所だった。
無限に広がるその蒼さの中で、僕は自分が小さくて、何もかもが遠く感じられる。
そのときだけは、誰とも話さなくても、どこにも属さなくても、心が安らぐのだ。
クラスの誰とも話さない。正確には、話しかけられることがほとんどなかった。
人といると、何だか胸が苦しくなる。
彼らが笑っているとき、その笑いの裏にある嘲笑や苛立ちを感じてしまうからだ。
なぜだろう、僕はそれが分かってしまう。
だから、誰もいない場所で一人きりでいるほうが、ずっと楽だった。
放課後、家に帰ると、僕はいつものように古びたノートを開く。
表紙には、誰かに見せるためではない、僕だけの大切な言葉が書かれている。
「夢日記」
そのページに並ぶのは、宇宙船のスケッチや、見たことのない星の想像図。
そして「人類が争わずに生きるにはどうすればいいか」という、僕の理想が詰まった文章だった。
ああ、僕は宇宙飛行士になりたいんだ。
誰に笑われても、この夢を捨てることはできない。
その夜、僕は夢日記を書き終え、窓を開けて空を見上げた。
月明かりの中、星が一つ、強く輝いている。
その星は、ただ静かに光っていた。
何の言葉もなく、ただそこにあった。
でも、僕はその星が、僕の孤独そのもののように感じた。
星の光が、まるで僕の心の中の寂しさを映し出しているかのようで、ふと、涙がこぼれそうになった。




