Episode 9
ギルドの奥に進むと、広間の一角に木製のカウンターが置かれていた。
僕は胸の奥で緊張を感じながら、声をかけた。
「す、すみません……僕、ギルドに登録したいです!」
受付係は少し驚いたように目を見開き、そしてにこりと微笑む。
「そうですか、それならまずはこちらの登録用紙に記入してください。終わったら提出してくださいね。」
僕は手を震わせながらも、用紙を受け取りペンを握る。
(ついに……自分の力で、ここから冒険が始まるんだ……!)
そのとき、横からやけに大きな声が飛んできた。
「おっ、新人か!」
振り向くと、銀髪の青年がこちらを見ていた。
背中には、明らかに目立つ巨大な剣を背負っている。
「悪い悪い、驚かせたな。俺はこのギルドに所属してる冒険者だ。名前は……リオン」
そう言って手を振った拍子に、剣の柄がカウンターに当たり、置かれていた書類がばさりと音を立てて崩れる。
「……っと! あー、すまん!」
慌てて書類を元に戻そうとする姿に、思わず肩の力が抜ける。
(……なんだこの人)
青年……リオンは気まずそうに笑いながら、僕の方を見る。
「いや、新人を見るとつい声かけたくなってな。登録中だったか?」
「は、はい……」
「そっか。じゃあ邪魔したな」
そう言って一歩下がると、親指を立てて軽く笑った。
「まあ、困ったことがあったら声かけてくれ。ギルドは初めてだろ?」
その言葉に、胸の奥が少しだけ軽くなる。
(……変な人だけど、悪い人ではなさそうだ)
そして僕は記入済みの登録用紙を持ってカウンターに向かった。




