表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

第8章:勝利の宴と新たな称号

オークの群れを撃退したその日の夜。

ココノエ村は、かつてない熱気に包まれていた。


「勝ったぞー! 俺たちの村を守ったぞー!」

「ケンタさんと騎士様のおかげだ!」


村長の一声で、急遽、祝勝会が開かれることになった。

場所は広場。

俺はスキル【DIY】をフル活用して、準備に取り掛かる。


「テーブルが足りないな。よし!」


近くの丸太を加工して、大人数が座れるロングテーブルとベンチを量産。

さらに、広場の中央には一段高いステージを作り、即席の照明(光の魔石を埋め込んだランタン)を設置した。


「ケンタさん、お肉の解体もお願いできる?」


「任せて!」


倒したオークの肉は、実は高級食材として知られている。

俺は切れ味抜群の解体ナイフを作り出し、ガンテツさんたちと協力して、山のような肉を次々と捌いていった。


宴が始まった。

主役はもちろん、ガンテツさんとリコが腕を振るった料理の数々だ。


「さあ食え! 今日は無礼講だ!」


大皿に盛られたオーク肉のステーキ。

表面はカリッと香ばしく、中はジューシーなピンク色。噛むと濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。


「うめぇぇぇ!!」

「最高だ!」


騎士たちも、今日ばかりは鎧を脱いで肉にかぶりついている。

飲み物は、俺が作った冷蔵庫でキンキンに冷やしたエールと、子供や女性向けの特製フルーツ牛乳だ。


「モグモグ……ん〜っ! 美味しいですわ!」


アリス嬢も、フォークとナイフを器用に使ってステーキを平らげている。

「野蛮な料理ですけど、お城の料理より活気があって好きですわ!」

口の端にソースがついているのがご愛嬌だ。


宴もたけなわとなった頃。

アリス嬢がステージに上がった。

村人たちの視線が集まる。


「皆の者、よく戦いました! 領主の娘として、この村を誇りに思います!」


ワァァァァッ! と歓声が上がる。

アリス嬢は咳払いをして、俺を手招きした。


「そして、一番の功労者であるケンタ!」


「は、はい」


俺がステージに上がると、彼女は真剣な表情で俺を見つめた。


「貴方の力は、一職人の枠を超えています。要塞を一瞬で築くなんて、宮廷魔導師でも不可能ですわ」


「いや、あれはただのDIYで……」


「謙遜は不要です。そこで、私はお父様に報告し、貴方を正式にこの村の『開拓責任者』に任命するよう進言します!」


「開拓責任者……?」


「ええ。つまり、この村の発展に関する全権限を貴方に委ねるということです。予算もつけますわ。好きにやりなさい!」


それは事実上、領主に代わって村を経営しろということだ。

責任重大だが……悪い気はしなかった。

自分の手で、この村をもっと住みやすく、楽しい場所にできるなら。


「謹んで、お受けします」


俺が頭を下げると、この日一番の拍手が巻き起こった。


宴の後。

俺は広場の隅で、焚き火を眺めながら一息ついていた。

隣にリコが座る。


「お疲れ様、ケンタさん。……ううん、開拓責任者様?」


「やめてくれよ、その呼び方」


俺たちは顔を見合わせて笑った。


「でも、本当にすごいね。ケンタさんが来てから、ボロ家がログハウスになって、井戸が直って、お風呂ができて……今日は要塞まで」


リコは焚き火に照らされた村を見渡す。

みんなが笑っている。

怯えて暮らしていた辺境の村が、今は希望に満ちている。


「私、今の村が大好き。ケンタさん、ありがとう」


「礼を言うのは俺の方さ。俺も、この村が大好きだ」


俺は心に誓った。

この笑顔を守るために。

アリス嬢や騎士たち、そしてリコと共に、この村をもっともっと発展させていこう。

俺の【DIY】があれば、何だって作れるはずだ。


そんな俺たちの様子を、村の外れの森の奥から、じっと見つめる影があることに、まだ誰も気づいてはいなかった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ