表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

第5章:最高の別荘と露天風呂

翌日から、村の高台で別荘の建設が始まった。

見晴らしは最高だが、地面はデコボコで岩も多く、普通の建築なら整地だけで数週間はかかる場所だ。


「まずは基礎からだな」


俺は地面に手を触れる。

スキル【DIY】発動。


(スキャン……地形データ取得……水平化……石材加工……設置!)


ゴゴゴゴ……!


低い地鳴りと共に、邪魔な岩が砕け、地面が平らにならされていく。

さらに、砕けた岩が四角い石材へと変形し、規則正しく並んで強固な石積みの基礎が出来上がった。


「なっ……!?」


警備のために付いてきていた騎士たちが、目を剥いて絶句している。


「おい、見たか今の……」

「一瞬で整地が終わったぞ……土魔法使いでもあんな芸当はできん」


「よし、基礎は完璧だ。次は柱を立てていくぞ」


俺は騎士たちの反応を気にせず(もう慣れた)、あらかじめ森で切り出しておいた木材に手をかざした。


骨組みと壁ができると、次はアリス嬢こだわりの内装だ。

特に彼女が強く要望していたのが「ベッド」である。


「お屋敷のベッドは硬くて腰が痛くなりますの。雲のように柔らかくて、でも沈み込みすぎない、最高のベッドをお願いしますわ!」


……無茶を言う。

だが、職人としては燃える注文だ。


俺は森で採取できる「ワタゲ草」という植物に目をつけた。

そのままでは弾力が足りないが、繊維を編み込み、空気の層を作るように加工すれば……。


「できた。特製ポケットコイル(風)マットレスだ」


さらに、肌触りの良い布でカバーを作る。

試しにアリス嬢を呼んで寝転がってもらった。


「……!」


アリス嬢はベッドにダイブしたまま、動かなくなった。


「お、お嬢様?」


「……雲ですわ」


「え?」


「これは雲ですわ! ふわふわで、もちもちで……ああ、もう起き上がりたくありません……」


どうやら合格のようだ。


そして、最大の難関がお風呂だ。

この世界には、まだ「湯船に浸かる」という習慣があまりないらしい。貴族でも、お湯で体を拭くか、サウナのような蒸し風呂が一般的だそうだ。


だが、アリス嬢は「たっぷりのお湯に浸かりたい」と言った。

やはり日本人(転生者)としては、そこは妥協できない。


「川から水を引いて……ろ過装置を通して……」


竹のような植物を繋ぎ合わせてパイプラインを作り、高台まで水を引く。

そして、トマスさんから仕入れた「火の魔石」を組み込んだ給湯タンクを設置。

魔石の熱でお湯を沸かし、温度調整も可能にする。


浴槽は、香りの良いヒノキに似た木材を使用。

大人3人が余裕で入れる広さだ。

目の前には、ココノエ村ののどかな風景と、遠くの山々が広がっている。


「完成だ……! 絶景露天風呂!」


湯気と共に木の香りが漂う。完璧だ。


着工からわずか3日。

アリス嬢のための別荘が完成した。


「うそ……本当に3日で……?」


アリス嬢は完成したログハウスを見上げ、呆然としている。

だが、すぐに気を取り直して中へと駆け込んだ。


「きゃあぁぁ! 素敵! 素敵ですわ!」


中からは歓声が聞こえてくる。

そして、いよいよお風呂の時間。

(もちろん俺たちは外で待機だ)


しばらくすると、風呂場の方から「はぁぁぁ〜〜〜……」という、とろけるようなため息が聞こえてきた。


「極楽……ですわ……」


その声を聞いて、俺はガッツポーズをした。


風呂上がりのアリス嬢は、頬をピンク色に染め、湯気を立たせてリビングに戻ってきた。

用意しておいたコーヒー牛乳(風の飲み物)を腰に手を当てて飲み干す。


「ぷはっ! ……最高ですわ」


彼女は俺の方を見て、潤んだ瞳で言った。


「ケンタ、貴方は天才ですわ。もう決めました。私、ずっとここに住みます」


「えっ」


「お父様には事後報告でいいですわよね。隊長、荷物を運んでらっしゃい!」


「ええええぇぇぇ!?」


騎士隊長の悲鳴がこだまする。

さらに、隊長はこっそり俺の耳元で囁いた。


「あ、あの……ケンタ殿。もしよろしければ、我々の詰め所にも、あのお風呂を……」


どうやら、騎士たちもこの快適さに魅了されてしまったようだ。

こうして、ココノエ村に領主の娘が住み着くことになり、村はますます賑やか(騒がしく)なっていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ