第17章:魔界大改造ビフォーアフター
「よし、源泉は確保した。次は施設作りだ!」
俺は【DIY】スキルをフル活用し、殺風景な荒野をリゾート地へと変えていく。
魔界の岩石は黒くて硬いが、保温性に優れている。これを削り出して、野趣あふれる「大露天風呂」を作成した。
「内湯はヒノキ……はないから、魔界樹の木材を使おう」
香りの良い魔界樹を加工し、屋内には落ち着いた雰囲気の浴槽を作る。
さらに、俺のこだわりである「サウナ」と、キンキンに冷えた「水風呂」も忘れない。
「すごい……たった一日で、こんな立派な建物ができるなんて」
リリスが目を丸くしている。
「さあ、完成です。『魔界温泉・極楽の湯』、オープンです!」
「本当に、この熱いお湯に入るの?」
一番風呂はリリスと、その側近たちだ。
彼らは服を脱ぎ、恐る恐るお湯に足を入れる。
「あつっ……いや、温かい?」
肩まで浸かると、彼らの表情が一変した。
「ふぁぁ……なんだこれは……」
「体の芯から解れていくようだ……」
「極楽じゃ……」
殺伐とした魔族たちの顔が、とろけるように緩んでいく。
リリスも頬を赤らめてうっとりしている。
「気持ちいい……魔力の回復速度も上がってるわ」
「お楽しみはこれからですよ」
俺は彼らをサウナ室へ案内した。
灼熱の蒸気が充満する部屋。
「あ、熱い! 死ぬ!」
「我慢してください。ここからが勝負です」
数分後、汗だくになった彼らを水風呂へ突き落とす。
「冷たっ!? 殺す気か!?」
「そして、外の椅子で休んでください」
外気浴。
血管が収縮と拡張を繰り返し、脳内麻薬が分泌される瞬間。
「…………」
魔族たちは言葉を失い、虚空を見つめていた。
「……ととのった」
一人の側近が呟く。
「これは……ポーション以上の回復効果だ……」
「悩みがどうでもよくなってきた……」
彼らは完全にサウナの虜になってしまった。
その時、空から轟音が響いた。
巨大な炎の竜に乗って現れたのは、筋骨隆々の大男だ。
「魔王様! 人間にたぶらかされていると聞きましたが、ご無事ですか!」
「炎の四天王」ヴォルグだ。
彼は俺を睨みつける。
「貴様か、魔王様を惑わす人間は! 俺が焼き尽くしてやる!」
「待てヴォルグ。話は後だ。まずは入れ」
リリスが指差したのは、露天風呂だ。
「は? 風呂? 何を言って……」
数十分後。
「いい湯だな〜ハハハン♪」
ヴォルグは上機嫌で鼻歌を歌っていた。
風呂上がりには、俺が用意した「冷えたフルーツ牛乳」を腰に手を当てて一気飲み。
「プハァーッ! 最高だ! 人間、貴様なかなかやるな!」
「気に入っていただけて何よりです」
「うむ! 我ら魔族と人間、争っている場合ではないな。これからは共に汗を流そうではないか!」
温泉の力は偉大だ。
長年の種族間の対立が、裸の付き合いであっさりと解消されてしまったのだから。




