第15章:最下層の主と魔王の休日
「よし、これで完成だ!」
俺はダンジョンの最深部、第10階層の広間に立っていた。
目の前に鎮座するのは、俺の【DIY】スキルの集大成。
全高5メートルの巨体、ミスリル合金の装甲、そして全身に搭載された(ゴム弾)ミサイルポッド。
『魔導アーマー・アルティメット』だ。
「テツジン1号のデータを元に、機動性と火力を大幅に強化した。これならSランク冒険者でも苦戦するはずだ」
もちろん、安全装置は万全だ。相手が戦闘不能になったら即座に停止する。
俺は満足げに頷き、地上へ戻った。
その頃、ギルド支部は騒然としていた。
「おい、見たか? あの子」
「ああ、ただ者じゃないぞ……」
冒険者たちの視線の先には、黒いフリルのついたドレス(ゴスロリ服)を着た、銀髪の少女がいた。
年齢は10代前半に見えるが、その身に纏うオーラは圧倒的だ。
「受付のお姉さん、一番難しいコースをお願い」
少女はリコに可愛らしく微笑んだ。
「は、はい! 第10階層までのフルコースですね。お気をつけて!」
「ええ、行ってくるわ」
少女は軽い足取りでダンジョンの入り口へと消えていった。
俺がモニター室(水晶玉でダンジョン内を監視できる部屋)に入ると、ガルドさんたちが絶句していた。
「な、なんだこの強さは……!?」
水晶玉に映る少女は、桁外れだった。
迫りくる壁を指先一本で止め、落とし穴を空中歩行で回避し、襲いかかるスライムたちをデコピンの風圧だけで吹き飛ばしている。
「魔法も剣技も使っていない……純粋な身体能力だけでこれか!?」
少女は鼻歌交じりに進み、あっという間に最下層へ到達した。
待ち受けるのは、俺の自信作『魔導アーマー・アルティメット』だ。
『侵入者ヲ検知。排除行動ニ移行シマス』
アーマーがミサイルを一斉発射する。
しかし、少女はそれを優雅に避け、懐に飛び込んだ。
「ふふ、なかなかいい動きね。でも――」
彼女の小さな拳が、アーマーの装甲に叩き込まれる。
ドォォォォン!!
轟音と共に、巨大なアーマーが壁まで吹き飛ばされた。
しかし、アーマーも即座に体勢を立て直し、反撃のレーザー(光魔法)を放つ。
「あら、壊れないの? 頑丈ね!」
少女は楽しそうに笑った。
激しい攻防が数分続き、最後はアーマーのエネルギー切れで決着がついた。
「ふぅ、楽しかった!」
ダンジョンから出てきた少女を、俺たちは戦々恐々としながら出迎えた。
「君は……一体?」
俺が恐る恐る尋ねると、彼女はニカッと笑った。
「私? 私は魔王リリスよ。お忍びで観光に来たの」
「ま、魔王ーーッ!?」
その場にいた全員がひっくり返った。
人類の敵、魔族の頂点。それがこんな少女だなんて。
「安心して、今は戦争する気はないわ。それより、このダンジョン、気に入ったわ!」
「え?」
「人間が作ったにしては骨があるし、何より『殺し合いじゃない』のがいいわね。最近の魔族も平和ボケしてるから、いい訓練になりそう」
彼女は懐からスタンプを取り出し、ギルドの壁に『魔王認定・優良遊技場』という刻印を押した。
「これでよし。これからは魔族の客も来ると思うけど、仲良くしてあげてね?」
「は、はい……」
こうして、ココノエ村のダンジョンは、人間だけでなく魔族も訪れる、種族を超えた交流の場となった。
俺のスローライフは、ますます賑やかで、忙しくなりそうだ。




