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第10章:鉄の守護者と秘密兵器

ガラム男爵の使者を追い返してから数日。

村には緊張が走っていた。


「報告! 男爵領の方で、傭兵団が集められているようです!」


斥候に出していた騎士が、息を切らせて戻ってきた。

ガルドさんが渋い顔をする。


「やはり、本気で攻めてくるつもりか。傭兵団となると、オークとは勝手が違うぞ」


相手は人間。知恵もあれば、戦術も使う。

今の騎士隊6人と、急造の要塞だけで守りきれるか……。


「ケンタ殿、どうする?」


「……数を増やしましょう」


「援軍を呼ぶのか?」


「いえ、作ります」


俺は村の裏山にある鉱山跡へ向かった。

ここには質の良い鉄鉱石が眠っている。


「スキル【DIY】――『精錬』!」


掘り出した鉱石を一瞬で純度の高い鉄インゴットに変える。

さらに、魔物のドロップアイテムである『魔石』を動力源として組み込む。


「イメージするのは……疲れを知らず、命令に忠実で、頑丈な守護者」


鉄が飴細工のように形を変え、人型になっていく。

無骨すぎると子供たちが怖がるので、少し丸みを帯びたデザインに。

リコが横から口を出す。


「目は青く光るのがいいな!」

「了解。センサーアイ、ブルー!」


数時間後。

高さ2.5メートルの鉄の巨人が完成した。


「起動!」


『ゴゴゴ……システム、オールグリーン。命令ヲ、入力シテクダサイ』


「よし、成功だ。名付けて『テツジン1号』!」


村の広場で、テツジン1号のお披露目を行った。


「うわぁ、大きい!」

「強そうだ!」


村人たちが歓声を上げる中、ガルドさんが模擬戦の相手を買って出た。


「いくぞ! せいっ!」


ガルドさんの鋭い剣撃が、テツジンの腕に直撃する。

カァン!!

高い金属音が響くが、テツジンには傷一つついていない。


『対象ノ攻撃ヲ検知。無力化シマス』


テツジンが腕を振るう。

その風圧だけで、ガルドさんが数メートル吹き飛ばされた。


「ぐはっ……! なんという馬鹿力だ……!」


「大丈夫ですか!?」


「ああ……これなら、傭兵団相手でも十分に戦えるぞ!」


俺はさらに量産を行い、計5体のアイアンゴーレムを配備した。

加えて、要塞の壁には自動で敵を狙い撃つ『自動迎撃バリスタ』も設置。

村は、もはや小国の城塞都市並みの防備となっていた。


「ケンタさん、私たちにも何かできることはない?」


作業を終えた俺に、リコや村の若者たちが声をかけてきた。


「ゴーレムがいるから大丈夫だよ」


「でも、ケンタさんだけに頼りたくないの。ここは私たちの村だもの!」


その言葉に、俺はハッとした。

そうだ。俺が全部やってしまうのは簡単だけど、それでは本当の意味で「強い領地」にはならない。


「……分かった。じゃあ、避難訓練と、簡単な武器の扱いを練習しよう。万が一、敵が侵入してきた時のために」


「うん! やる!」


その日から、騎士たちの指導のもと、村人たちの自警団訓練が始まった。

みんなの目が真剣だ。

恐怖ではなく、守るという意志が、村全体を包み込んでいた。


(これなら、勝てる)


俺は確信した。

物理的な防壁だけでなく、心の防壁も完成したのだと。

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