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初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高二編
42/43

『昨日、仁と別れたよ』


郁奈からのメッセージには、そう書かれていた。


『待ってる』そう伝えた後、俺は今までの自分について考えていた。


結局、ずっと郁奈を思っていながらも、自分から何か行動を起こしたことがあっただろうか。


むしろ、逃げてばかりだった。

だから郁奈は、仁くんを選んだのだ。


何度も後悔した。

あの時、自分が約束を守っていたら。

郁奈のことを傷付けていなければ。


でも、考えても仕方がなかった。

本当にもう、何もやり方が見つからなかった。


だから、2人を応援すると決めたのに。


全部、俺のせいだろうか。

そんなことを思って自惚れていても、何も変わらなかった。


どうしようもない俺なのに、こんな奇跡が起こるなんて、思ってもいなかった。


自分の気持ちとちゃんと向き合って、今度こそ行動しなければと思っていた。


用意していた言葉を画面の中に打ち込む。


『分かった。ごめんね。ちゃんと自分の口から伝えたいから、会って話せない?』


送信ボタンを押すと、しばらくしてすぐ返事がきた。


『うん。じゃあ、火曜日の放課後。学校はみんないるから、近くの河川敷でお願いします』


月曜日は軽音の部活があるからだろう。それに、仁くんのこともあるだろうし、人に見られてはまずい。


『分かった。じゃあ、また』


郁奈にそう返事をし、ベッドに横になった俺は、ただ天井を見上げているうちに眠りについた。


------


火曜日の放課後。

俺は学校の近くの河川敷にいた。


河辺を吹き抜ける風の先に、郁奈が立っている。


俺が今まで言えなかった気持ちを伝えると、郁奈はこちらを見て口を開く。


「ごめん。やっぱり内田くんとは付き合えない」


そう言われ、息が苦しくなって目を開けると、目覚まし時計が鳴っていた。


7月某日、朝8時。今日は火曜日だ。


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