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初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高二編
39/43

告白の日

ある日の放課後、何気なくSNSを眺めていたとき、ある投稿がふと目に飛び込んできた。


『今日は告白の日』


その瞬間、頭に浮かんだのは

――渉の顔だった。


今思えば、そんなのは、バズりたいだけの大人が、思春期の子供に適当に嘘をついて挑発しただけのものだったが、その時、私の心は限界だったのだ。


(私は仁と付き合っているのに、どうして内田くんのことばかり思い浮かべてしまうんだろう)


仁と付き合い始めてから、頭の中で何度も何度も繰り返したその言葉。


(もう、終わりにしなきゃ…)


そう思った。

仁を裏切り続けるようなこの気持ちに、けりをつけたかった。


スマホを握りしめ、深呼吸をする。

そして、震える指でメッセージを打った。


『久しぶり。突然だけど、今日、告白の日なんだって。だから、私も内田くんに告白したいことがあってね』


苦しい胸を抑えながら、送信ボタンを押す。


指先が冷たくなり、画面を見ていられなくて、布団に潜り込む。


スマホが震え、通知が届いた。


『久しぶり。突然だね(笑)』


返事がきた。ここまできたなら、もう言うしかない。


『実は、1年生のとき、内田くんのこと好きだったんだ』


胸がぎゅっと締めつけられる。

どんな返事が来るのか、そう考えて息ができなくなる。


数分後。


『そうだったんだ。実は、自分も柏木さんのこと好きだったよ。でも、今は仁くんと柏木さんを応援してるよ』


(好き“だった”…もう、過去のことなの…?)


私は、少しの希望を込めてメッセージを送る。


『今はもう、好きじゃないの?』


返事は、すぐに返ってきた。


『正直に言うと…まだ好きだよ。でも、本当に2人を応援してるんだ』


画面の文字が滲んで見えた。

私は、仁に背を向けて渉に惹かれている自分を、もう否定できなかった。


(私…本当に、内田くんが好きなんだ)


気づいた瞬間、心の奥が静かに決意に変わっていく。


『実は、私、まだ内田くんのこと諦めきれてないんだ。だから、仁とちゃんと話す。内田くんと一緒にいたいから』


少し間を置いて、渉から返事が来た。


『分かった。待ってるよ』


その一文に、胸が熱くなり、布団の中でスマホを抱きしめながら、涙が頬を伝う。


私はようやく、自分の気持ちに正直になることを決めた。


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