表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高二編
33/43

幽霊部員

2年生としての学校生活にも慣れてきたころ。


「柏木さん!助けてくれ!」


そう言って、部長が私の前に書類を広げる。


「え、なんですか?」


私は訳が分からず聞くと


「文化祭、出場バンドが少なすぎて困ってるんだよ!」


そう言って、部長が差し出した書類には『部員名簿』と書かれていた。


「あ、なるほど…」


今年の軽音部の新入生は、7人2バンド。2年生は私たち3人の1バンド。先輩たちは3人で1バンド。合計で4バンドだ。


文化祭は、金曜日と土曜日の2日間。金曜日は、他校生は来場禁止だけど、土曜日については、保護者その他不特定多数の人がやってくる。


体育館ステージは、他の部活で枠が埋まっているため、軽音部は空き教室を借りて、部員が順番に演奏をする予定だった。


すなわち、2 daysライブフェス!


これを、持ち曲の少ない素人高校生の4バンドで回すのは無理があった。


「この幽霊部員たちを、どうにか文化祭に引き連れてきて欲しいんだ…!」


(そう言われても…)


私は書類には目を落とす。


(あ、内田くん…)


そこには渉の名前があった。


(まだ、籍置いてるんだ)


「うーん…私が声かけられそうな人はかけてみます」


「本当に?ありがとう!」


部長はそう言って嬉しそうにしている。

私はその夜、久しぶりに渉に連絡してみた。


------


『内田くん、久しぶり!あのさ、内田くんのバンドってまだ活動してるの?軽音部の文化祭、バンド足りてなくて…』


すると、しばらくして渉から返事が来る。

前々から、こういう業務連絡は割と返事が早かった。


『久しぶり。バンドはもうしてないかな。でも、文化祭でライブっていいね』


私は、渉のバンドがもう活動してない事実に、少し残念だったが、文化祭ライブには興味があるようだ。


『そうなんだ、残念…他の人と組むとかは、考えてないの?』


『組んでたバンドでドラムだったヤツが、他校生とバンド組んでるから、呼んだらくるかも。でも、ギターとドラムだけじゃバンド組めないし…』


そう言われて私は期待で胸が熱くなった。


『じゃあさ、私がベースやるから、一緒に文化祭出ようよ!』


断られるかも、と思いながらも返事を待つ。

なんだかスマホを持つ手が震える。

しばらくしてから通知音が鳴り、画面には


『ほんとに?柏木さんがいいならぜひ』


と、渉からのメッセージが表示されていた。


(…!)


私は思わずスマホをベッドに放りやる。


(内田くんと…バンドができる…!)


私は嬉しくてたまらなくて、その場で飛び跳ねそうだった。


(…でも)


文化祭に出るということは、私が黙っていたとしても確実に仁の耳に入るだろう。


(ちゃんと言わなきゃな…)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ