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初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高二編
31/43

2年生

4月。新学期。

始業式の朝、昇降口には新しいクラス表が張り出され、人だかりができていた。


「郁奈ー!こっちこっち!」


人だかりにたじろいでいる私に、真美が声をかけた。真美の方に目をやると、あやかも一緒だった。


「ねぇ見て!」と言いながら、クラス表を指差す真美。そこには、去年と同じ7組の欄に、柏木郁奈、安原真美、山本あやかの名前があった。


「え、みんな同じクラス!?」


思わず声を上げる。


「そうだよ」と言って笑うあやか。


「やったー!」


私は嬉しくて大きくガッツポーズをした。


「イタッ」


そう聞こえたので振り返ると、私に声をかけようとしていた仁だった。


「あ、ごめん!」


私が謝ると、仁は「大丈夫大丈夫」といつもの調子で笑った。


「みんな同じクラスなの?えーっと、俺は…」


そう言ってクラス表に目をやる仁。


「え、俺、6組ぃ〜?郁奈と違うクラスじゃん…」


そう落ち込んだように言う仁に、私は「隣の教室だし、体育一緒だから、大丈夫だよ」と声をかけた。


すると仁は「まあそうか。3組とかにならなくてよかったぁ〜」とまた笑う。


今年の2年生は、文系を選んだ生徒が多いらしく、1組と2組が理系、3組〜7組が文系だった。


(渉は…)


ついそう思ってクラス表を見る。


(6組には…あ、瑠夏ちゃんだ)


6組には、角脇瑠夏の文字。去年も隣のクラスだったので、体育の時に少し話したことがある。また、同じか。


(6組…じゃない。5組…でもない。4組、いや、もしかして、3組…?)


私は途中で不安になりながらも、3組のクラス表に目をやる。


(あ、3組だ…)


渉が文系を選んだという情報は、お馴染み真美駿コンビから仕入れていた。


(1番遠い…)


これだと体育も別々だ。私は少し寂しい気持ちなったが、「軽音部の子でも探してるの?」と仁に尋ねられ、我に帰った。


「え、あ、そうだよ!茉莉ちゃんとほのちゃん!あ、あった!」


6組、大久保茉莉

1組、矢部ほの


「あー、2人、遠くなっちゃった…」


茉莉とほのは元々同じ4組で、同じ部活、同じバンドということで、いつでも一緒にいる仲良しコンビだった。茉莉が文系、ほのが理系を選択するのは知ってたけど、よりによってこんなに遠いクラスになるとは。


(運命ってイタズラ…)


そう考えながら、また少しだけ渉の顔を思い出した。


------


2年生になって最初の部活。

軽音部は、2学期初めの文化祭をもって3年生が引退する。そのため、次期部長を早々に決めておくらしい。


(といっても…)


私は部室を見渡す。

新2年生の部員は、去年の4月から1年で5人まで減っていた。


渉のバンドは初期の初期に来なくなったし、他のバンドも、徐々に活動数が減り、現在活動している2年生のバンドは私たちの3人1組だけ。


他は、バンドを組まず、個人的に楽器を弾きにきている男の子2人だった。


(私たち3人の誰かが部長にならないと…)


そう思った。 


「じゃあ、部長直々に、次期部長を指名したいと思います!拒否権は無し!」


(え、え〜)


そう思いながらも、本当は少しやってみたい気持ちもあった。なんだかんだで、バンド活動は楽しかったから。


「次期部長は…柏木郁奈さん!」


「はい!」


呼ばれた。


「みんな異議ある?ないね!柏木さん、ちょっとやりたそうだったし大丈夫でしょ?」


バレていた。「あ、は、はい〜…」と弱く返事をすると


「じゃあ副部長は、大久保さんで。よろしく!」


急に指名された茉莉は「え!あ、はい」と気の抜けた返事をした。


おとなしいほのちゃんは、あまりみんなを引っ張ってタイプではないので、私と茉莉で適任だった。


茉莉は、ちょっと恥ずかしそうに「文化祭、絶対に成功させようね」と言う。


今年の文化祭は、私たち2年生にとっても、最後の文化祭。何としてでも盛り上げようと誓った。


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