表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高一編
30/43

修学旅行

3月の初め、待ちに待った修学旅行の日がやってきた。普通の高校なら、修学旅行に行くのは2年になってからなのだろうが、2年生の3学期は、3年生0学期だか何だかで修学旅行に行けないらしい。


出発当日の朝は、友達同士で旅行の荷物や服装について話題が弾む。私は少し緊張しながらも、胸の奥は期待でいっぱいだった。


クラスごとに分かれてバスへ向かう。長野でのスキーは、クラスで別々のコースになっていた。


バスが停まると、遠くから手を振る人の姿が見えた。


(仁だ!)


私も手を振り返す。彼は笑顔で近づいてきて、「雪綺麗だね」と言うと、すぐに自分のクラスの列に戻って行った。


仁はいつもこんな感じで、隙あらば声をかけてくれる。


仁の背中を眺めていると、5組のバスから降りてくる渉の姿も見えた。


------


スキーは初めてだったけど、結構楽しかった。みんなそれぞれ同じウェアを着ていて、男子が青いニット帽、女子が赤いニット帽。個人を識別するために、大きなゼッケンをつけていた。


(渉は…)


『105』


つい覚えてしまう。


(見てるだけ…見てるだけ…)


そうい言い聞かせていた。


------


夜になり、宿泊施設の大ホールで一年生全員で夕食を取った。クラスごとに決まった場所に座るので、私は真美とあやかの隣だ。


ふと6組に目をやると、あの綺麗なロングヘアが目に入る。


(瑠夏ちゃんだ…)


お風呂上がりだったので、いかにもいい匂いがしそうだった。


普段はコンタクトをつけているのか、今はメガネをかけている。メガネ姿も綺麗だった。


------


夕食後、仁が「せっかくだから、ちょっと話そうよ」と声をかけてきた。


ロビーに出ると、人影はまばらで、先生の目も届きにくい場所を選んで歩く。


「こんなところで話すのも変だね」


私が笑うと、仁も肩を揺らして笑った。


「うん……なんか、こういうの、ちょっとドキドキするね」


ふと、先生たちの声が近づいてくる。


「やばい、見つかったら怒られるかも!」


二人で急いで隅の薄暗いスペースに隠れることにした。狭くて暗い場所に身を潜め、肩を寄せ合って息をひそめる。


しばらくすると、思わず笑いがこぼれた。


「……なんか、おかしい」

「うん、でも、楽しい」


小さな声で笑い合いながら、私たちは今この瞬間を噛みしめていた。


------


結局、先生に見つかり、私たちはそれぞれの部屋に戻ることになった。


部屋に戻ると早速


『さっきはありがとう。おやすみ』


と仁からメッセージが入った。


「なーにぃ〜?彼氏ですかぁ〜?せっかく私たちとの素敵な夜なのに〜」


同じ部屋の真美が言う。


「もう!勝手に見ないで!」


そんな私たちを見て、あやかも笑う。


こうして、1年生最後の大イベント修学旅行を終え、私たちは2年生になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ