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初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高一編
18/43

水面下

「ねぇ、真美」


お弁当を食べながら、私はずっと胸につかえていたことを、思い切って口にした。


補講の後、部活や委員会活動がある生徒は、各自お昼休憩を取ってから、それぞれの活動を始める流れになっている。


「この前さ……玄関で、内田くんと瑠夏ちゃんが一緒にいたの。なんか、仲良さそうで……」


真美は一瞬きょとんとした顔をしたあと、にやりと笑った。


「……あー、それね。実はさ、二人、同じファミレスでバイトしてたんだって」


「えっ!?」


私は驚いて声を上げたのと同時に、(なんで知ってるんだよ…)と心の中でツッコミを入れた。情報の出所は駿なのだろう。


「夏休みに入ってから、みんな結構バイト始めてるじゃん。で、うっちーもそこで一緒に働いてたんだけど……一週間で辞めたんだって」


「……辞めたの?」


「うん。なんか、続けられなかったみたい。うっちーって、そういうとこあるでしょ?」


真美はあっけらかんと言うけど、私の胸はざわついていた。


(やっぱり……仲良いんだ)


同じアルバイトまで。

私がただ渉を見つめるだけの生活をしている間に、知らないところで二人が一緒に過ごしていた時間を想像すると、心がぎゅっと締めつけられる。


(私なんかより、ずっと瑠夏ちゃんの方が……)


気づけば俯いていた。


そんな私を見て「でもね」と真美が声をかけてくれた。


「もう辞めちゃったんだから、接点も少なくなったんじゃない?」


「……そっか」


思わず胸の奥がふっと軽くなった。

ほんの少しだけ、安心してしまう自分がいた。


------


放課後、委員会の帰り道。

蝉の声が、真夏の空気をさらに暑くしていた。


(どうして辞めちゃったんだろう…内田くんを追いかけて同じ高校に入るくらいだから、瑠夏ちゃんが、また内田くんを追いかけて同じアルバイトを始めたのかな…それが嫌で辞めちゃったとか…)


そう考えると、やっぱり少しだけ嬉しくて。

でも同時に、そんなことで安心している自分が嫌になった。


(私、ほんとに……どうしたいんだろう)


夕陽に照らされるアスファルトを見つめながら、自分の気持ちに答えを探すように歩き続けた。


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