表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋が終わるまで  作者: 生ハム
高一編
17/43

夏休み

夏休みに入ってからも、午前中は受験対策の補講がある。『自称進学校』だからね。


午前中しか授業がないので、廊下で渉を見かける機会も半分になるが、全く会えないよりはマシと自分に言い聞かせていた。


------


ある日の午前補講が終わったあと。

私は実行委員の集まりがあるため、廊下を資料を抱えて歩いていた。


ふと、廊下の先、玄関の方に目をやると、体操服姿の渉が立っていた。


(体育祭の集まりの帰りかな?)


渉の他には誰もいないようだったので


(久しぶりに話せるチャンス…!)


と思った私は、声をかけようと玄関の方へと駆け寄る。


その瞬間、息が止まった。


さっきまで柱の影に隠れて見えなかったが、渉の隣には、同じく体操服姿の瑠夏がいた。


(……え?)


同じ体育祭のチームだから、何か話し合いをしていたのかもしれない。


でも、渉は実行委員に入っていないはずだ。

補講が終わったなら帰るだけのはずなのに、どうして。


(わざわざ残って、瑠夏ちゃんと……?)


胸の奥に、不安が広がる。

すると、2人は私に気付き、視線を向けてきたので、私は焦って


「……お、おつかれぇ〜」


とだけ言った。この一言が精一杯だった。


渉が軽く会釈をして、瑠夏は柔らかく笑った。


私はそれ以上なにも言えず、足早にその場を立ち去った。


(どうして一緒にいるの……)


階段を上がる足が、やけに重かった。

手に持った資料が汗で少し湿っている。


胸の奥がざわざわして、息苦しかった。

最悪の夏休みだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ