イケメンはごめんなさい!! 間話 リアム邸 ②
感謝祭が始まる少し前。
私、紅野瀬奈。
大学卒業後、小さな会社に入社。
朝はゆっくり夜遅く、昼も休み時間も各自自由で仕事さえちゃんとやっていれば意外と1人の時間が多くてコミュ障の私にとっては働きやすい職場だった。
休み時間は推し活をし。帰ってからも夜中まで推し活をする毎日。
「なのに………」
目の前に積まれた分厚い本。
本!
本!!
「いや、本が嫌なわけじゃないんだよ?どちらかと言えば読むのは好き出し……けど」
今の私には足りないの。
日常から離れ、良く分からない場所で勉強の日々。疲れた私を癒す『萌え!』的なヤツがぁ!!!
「あああああああああぁぁ―――!!!!」
とりあえずベットにダイブして叫んで発散してみる。
「…………………足りな過ぎる」
「何がですか?」
「何がって、萌え的癒しがよ」
「?萌え的癒し?とは?」
「何かって?そんなの………?」
瀬奈は自室の扉の方を見た。
ここは、自室と言っても実家のではない。そう、ここはリアム邸使用人屋敷の一室。瀬奈に与えられた自室である。その扉は開かれ、ニコニコと緑色の髪の少年執事は立っていた。
「ネル君……いつからそこに?」
「成る程、度々聞こえてくる妙な奇声はセナ様の心の叫び声だったのですね?」
ネル少年の真面目な顔にキュンを頂きつつ瀬奈は反省の言葉を口に出す。
「ご近所様方にはご迷惑をお掛けし申し訳ないです!」
誠心誠意を表すために土下座で瀬奈は謝罪の意を示した。最初は地べたに土下座するつもりが、ネルファデスによってベット上へと連行され何故か膝を突き合わせ2人で正座をする形になっている。
怪我の為、リアム邸本邸で治療をしていたが無事完治し瀬奈のたっての希望で使用人屋敷へと移動して数日。
隣人から、私の出す騒音の苦情がネルファデスへと陳情されていたとは………。
「顔をあげて下さい、セナ様。それで?その心の叫びの原因である『萌え的癒し』とは何なんですか?」
「えっ?何、と言われても……」
困った!萌え的癒しを説明しろっていわれてもどう説明したらいいの?萌える部分も癒しの部分も人それぞれだし………。
「え〜と、その仕草を見たらキュンてしたり。姿を眺めているだけで癒されたり…とかでしょうか?」
ネルファデスはうーむと考え。
「少しお待ち下さい」
何を思いついたのか、瀬奈の部屋を飛び出し少しすると軽い足音をさせながら手に何かを抱えてネルファデスが戻ってきた。
「この子とかどうでしょう?」
手に抱えていたモノは何と猫様。
「ニャーァァァ」
サバ白の成人猫様。前足の片方には包帯が巻かれている。
「この子怪我してるんですか?」
「ええ、先日瀬奈様をベルフルールに送り届けた帰りに路地で見つけましてね。酷い怪我をしてお腹を空かせていたので私が屋敷まで連れ帰り看病しているところです」
猫様は抱かれたままグルグルと喉を鳴らし、ネルファデスの顔をペロペロと舐める。
そんな光景に瀬奈はキュンとした。
(可愛い×可愛いはどちらかと言えば尊いに近いけど……うん、癒される〜)
ホッコリとした気分で鑑賞していたら。
「どうです瀬奈様?これは『萌え的癒し』ではないですか?」
そんな自信に満ちたドヤ顔で言ってのけたネルファデスに瀬奈は本日分の萌え的癒しをチャージしたのだった。




