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オタク女子イケメンパラダイスに降臨!  作者: 暁月
始まり

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26/61

イケメンはごめんなさい!! 23

 美味しい夕食と、広くて甘い花の香りのするお風呂から上がった瀬奈は敷地内にある使用人屋敷の自室のベッドに転がった。

「ん〜〜〜今日も疲れた〜〜〜」

 ふかふかのベッドの上で身体を解す様に伸びてから首方周りをマッサージする。その後はアンジェリカ特製のクリームを人差し指ですくい、目の周りを指の腹で優しくマッサージをしていく。

 蜻蛉玉作りや他の細かい作業は首と目が大変疲れるのだ。集中しすぎると眉間にも皺が寄ってしまうのでここも念入りに伸ばしてゆく。以前、シャルが『セナの顔、こーんなんなってるよ?』って眉間に皺を寄せながら真似してくれたことがあったけ、シャルだから可愛いらしさもあるけれどアレが自分だとしたら大変酷い顔になっていたのだろう。そのあと鏡で自分の顔を見たら眉間に赤い縦筋が入っていて流石に焦ったのは言うまでもない。

 瀬奈は追加で眉間にクリームを念入りに塗り込み、最後にネルファデス特製激染み目薬を差したら本日のケアは終わりだ。

 アンジェリカに言わせれば、瀬奈のケアは顔の代謝を良くしただけで本番はこれからだと言われたことがあるが、自分自身にさして興味のない瀬奈がやっただけでも昔に比べて進歩したと思っている。

「それにしても、2人が見つかって本当に良かった」

 自分の顔をパンパンと両の手の平で叩き椅子から立ち上がると自室の窓に寄り、上下にスライドする窓を開けて新鮮な空気を部屋の中に招き入れた。外はいつもよりまだ明るい。

 まだ明るい庭にはアヴィが水魔法で水を撒いていた。いつもはもっと遅く月が中天に差し掛かる頃に帰ってくる為、代わりにメイドやネルファデスが水を撒いているらしい。

「ふふ鼻歌でも歌ってるのかな?やっぱりアヴィ君は庭師やってる時のが楽しそう」

 水を撒きながら何か口ずさんでいるのが遠目からでも分かる。今は忙しいネルファデスの代わりに護衛兼御者の仕事をしてもらっているがそれも後1日。

 明日が感謝祭、最終日。その為に今日の露店は早上がりだった。商業地区中央の時計台広場には明日の準備が始められ、店も観光客の人達も午後を過ぎた頃からまばらになっていた、颯人が言うには最終日に向けて前日は皆調整に入るそうだ。

 その為、露店の商品も明日は売り切れ御免で切り上げるので今日は追加の作業もなく早く帰る事が出来たと言うわけ。

「うん、何か久々にゆっくりしてるって感じだな」

 外から入ってくる風が、まだ濡れた髪を優しくかき上げていく。

 この世界に来てどれくらいたったのだろう?最初の2ヶ月程は怪我の治療と、お勉強とお手伝い。その後は急遽、商業地区でのこの世界に慣れる為の実地研修兼短期バイトみたいな状態だったけど……。

 もう終わりなのだと思うととても寂しい。ネルファデスが言うには、リアムに頼まれていた温室問題がもう2.3日程で片づけ終わるそうでその後はまた勉強付けの毎日。

 瀬奈は無意識のうちに窓枠の(さん)を強く握りしめ。

「痛っ……あっ、爪が……」

 握りしめた拍子に右手人差し指の爪が割れてしまった。

「やだ……爪切りは、無理ね。こんな短い爪じゃ深爪になっちゃう。確かここら辺に」

 窓横に置かれた簡素な机の引き出しを開け、テーピング用のテープを取り出し爪の先を巻く。

「よし!とりあえずはこれで良いわね」

 絆創膏より見栄えは悪いかもしれないけど応急処置ならこれで充分だと満足して引き出しを閉める。が、視線は別の引き出しへと注がれ。

「…………」

 瀬奈はそのまま1番下の引き出しに手をかけた。その中には、この世界に来た時に身に付けていた衣服とカバンが綺麗になった状態で納められていた。

 カバンの中に手を入れ目当ての物を探し出し机の上に置く、そして先日『万屋』で見つけた例の物も一緒に机に置く。

 ゴクリと喉がなる。

「さぁ、この世界でこれが使えるとは思えないけれど……」

 瀬奈の手と顔に緊張が走る。

「私の欲望を叶える為には貴方が必要なの!お願い!」


 その夜。使用人屋敷内で瀬奈の歓喜に震える叫び声が聞こえたとか聞こえなかったとか………。



 ***



 同日。

 

 商業地区にあるベルフルールでも、いつもより早い時間帯の夕食が振る舞われた。

 連日連夜の疲労回復の為、本日の夕食は裏庭で収穫した自家栽培の野菜等を鍋に入れコンソメとトマトで煮込んだ野菜タップリトマトスープとパン。

 最近、瀬奈の護衛係としてリアム邸から一緒に来ていた『アヴィ』は普段は庭師として働いているそうで、店裏の小さな家庭菜園は小さいながらも立派な畑としてアヴィの手によって改良された。

 育ちの少し悪かった野菜達はここ数日でツヤとハリを増し、瑞々しく実のり本日颯人達が美味しく頂いている所だ。

 料理担当は颯人、片付け担当はハーフエルフの3人。食後のコーヒーを手に一息つくと颯人は口を開いた。

「で?一体何があったんだ?」

 回りくどい言い方はせず、直球で颯人は3人に問いかける。

 3人は顔を見合わせ、まずシャルが口を開いた。

「何?と、言われても簡単な状況はリーフが実況説明してくれてたんだよね?」

「ああ、少し離れ過ぎたせいで途中から途切れ途切れでは聞いていた」

 3人はまた顔を見合わせ、そして頷く。 先日の連れ去り事件について、シャル達が得た情報を颯人と共有する。


何故あの日、ベルフルールの店主でありリーフ達の保護者的な立場である颯人ではなくレイズを指名して迎えに来させたのか。

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