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歴史を紡ぐ物  作者: しろ組
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第三話 派閥争い

第三話 派閥争い


 ヨスケの婚姻から、数十年後。ヨスケも、床に臥すようになり、呆気無く逝ってしまった。

 それから、数百年後の石器時代になり、部族間で、派閥争いが勃発し、“ヨチモト”と“エバゴン”の血で血を洗う抗争が、日々、繰り広げられていた。

 そもそもの発端は、“エバゴン”派の(かしら)が、“ヨチモト”派の頭を撲殺した事に始まった。

 “エバゴン”派の頭が、交代制だった族長の制度を一本化したいが為に、“ヨチモト”派の頭を騙し討ちにしての凶行だった。

 これに激怒した“ヨチモト”派も、“エバゴン”派の頭の家族に対して、報復を敢行し、血祭りに上げるのだった。

 双方が、歪み合い、遂には、両派閥から強い戦士を一人ずつ、選出されての落としどころとなった。

 場所は、“ヨチモト”派の申し出で、族長の竪穴式住居前の一段競り上がっている楕円形の石舞台となり、時刻は、“エバゴン”派の申し出により、周りが暗くなってから、開始との事だ。そして、決着の方法は、“戦闘不能(ノックアウト)”になるまでとなった。

 数日後、決戦の日となり、石舞台の両端へ、両派閥の戦士が、立った。

 右側の小柄であどけなさの残る顔立ちの若い戦士は、“ヨチモト”派の戦士“セーシロー”。まともに、動ける戦士の中で、最も、状態が良いのが、選出された理由だ。

 対称的に、左側の戦士は、頭部が禿げ上がり、体の肉もたるんで、足下も覚束無い容姿の老いた男“ユウチ”だ。

 “ヨチモト”派からすれば、楽勝な雰囲気が漂った。若い戦士が、老いぼれの男に負ける訳がないと確信しているからだ。

 それに対し、“エバゴン”派も、腹を立てるどころか、不敵な笑みを浮かべていた。

 異様な雰囲気の中、貝塚より拾って来た傷だらけの石板を、中立の立場である長老が、地面へ投げ付けた。

 次の瞬間、金属音が鳴り響いた。

 その刹那、セーシローは、素早く飛び掛かった。程無くして、組み付いた。そして、勢いそのままに、押し倒した。

 ユウチが、“エバゴン”派の方へ、石斧を放り投げた。そして、守勢を余儀なくされた。

 セーシローは、のし掛かるなり、口元を綻ばせながら、右手の石斧を振り上げた。“ヨチモト”派の勝利を確信したからだ。

 突然、“エバゴン”派の方から、ユウチの石斧が飛来するなり、瞬く間に、セーシローの額へ直撃した。

 その瞬間、セーシローは、仰け反るなり、伸びてしまった。

 ユウチが、セーシローを退()かすなり、起き上がった。そして、立ち上がるなり、「ウガァァァァァ!」と、勝利の雄叫びを上げた。

 “ヨチモト”派が、信じられない面持ちで、静まり返った。まさかの逆転負けだからだ。

 その直後、“エバゴン”派が、次々に、石舞台へ上がり込み、勝利を祝い始めた。そして、“ヨチモト”派の粛清を開始した。

 “ヨチモト”派は、集落から追い出される羽目となるのだった。

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